第1回幹事会が令和8年6月11日(木)にWebにより開催され、兵庫県内の地域がん診療連携拠点病院等42病院及び関係病院等1施設・3団体の代表者が参加した。
※ 幹事、事務担当者等、代理を含め96名が出席 (欠席施設等:6施設)
(1)前回幹事会及び協議会議事録の確認
昨年2月5日開催の令和7年度第2回幹事会議事録と4月9日開催の第21回がん診療連携協議会の議事録は、本協議会のホームページに掲載されているので内容をご確認ください。
(2)がん対策について (資料2/PDF: 3.0MB)
県内のがん診療拠点病院等の指定状況に関する報告は、まず阪神北圏域において、近畿中央病院が閉鎖となったこと、宝塚市立病院が国指定拠点病院の要件を満たしたことで、新たにがん診療連携拠点病院として指定された。また、丹波医療センターはこれまでの地域がん診療病院から、連携を伴わない国指定病院へ変更された。これらを踏まえ、県内のがん診療体制は、都道府県拠点病院と地域がん診療病院の赤穂市民病院を含む国指定拠点病院18病院と県指定拠点病院により構成され、専門的ながん診療機能を担う医療機関となる。
続いて、昨年度開催された兵庫県健康づくり審議会対がん戦略部会がん診療連携専門委員会での決定事項について報告をする。今回の専門委員会では、県指定拠点病院の指定要件改正として二点が改訂された。一つは放射線診療に係る診療体制の要件緩和であり、もう一つは相談支援におけるピアサポーターの活用についてである。
放射線治療が必要な患者については、国指定拠点病院や当該事業に長けた医療機関につなげることを条件に、自施設での完結を必ずしも必須としないとされた。改定の狙いについては、厚労省が放射線治療装置1台あたり年間250〜300名を目安として示している一方で、県指定拠点病院の照射件数には幅があること、装置の維持更新に係るコスト低減、専門医や医療従事者の確保において集約化による技術向上や働き方改革が見込まれることである。課題としては、患者を他の医療機関に適切に紹介する体制整備が必要であるが、審議の結果、承認された。
厚生労働省が昨年8月に発出した通知「2040年を見据えたがん医療提供体制の均てん化・集約化」の中では高額医療機器の集約化が示されており、神戸においては低侵襲がん医療センターを中心に放射線治療の共同利用を目的とした地域医療連携推進法人が設立され、一つのモデルとなり得る。また県指定拠点病院のアンケートから専門医療従事者の確保に困難があることなどが示された。
がん対策全体の予算総額は8億3,200万円で、実績ベースでは昨年度より減少している部分もあるが大きな変わりはない。今年度の新たな取り組みとして「現役世代のがん対策推進検討会」を設置し、5月26日に第1回検討会を実施した。この検討会は、富永院長を議長として、医療機関、企業、患者会、労働局、経営者協会などの関係団体や市町に参加してもらっている。また、本日の幹事会にも出席していただいている神戸大学大学院医学研究科教授の伊藤ゆり先生にも入っていただき、非常に前向きな意見を多くいただいた。検討会では、がんと診断されると仕事を辞めざるを得ないという意識が依然として根強いこと、県内20以上の病院に設置されているがん相談支援センターの認知が十分でないこと、相談員が忙しそうで利用しにくいこと、企業側も従業員支援の方法が分からず相談先も不明であったこと、アピアランスケアの所得制限に関する意見などが挙げられた。これらを踏まえ、今後どのような取り組みが可能か議論を深め、来年度に向けて公民連携で施策を検討していく。
2040年を見据えたがん医療提供体制の均てん化・集約化については、団塊ジュニア世代が高齢者となり、働き手が減少する社会に向けた地域医療構想の議論が進んでいる。従来はどこにいても一定のがん治療が受けられるよう均てん化を進めてきたが、外科医不足などの要素も加わり、昨年8月に厚労省から県と連携協議会が一体となって均てん化・集約化を進めるよう通知があった。高度で困難な医療や希少疾患はがんセンターや大学病院、地域によっては地域がん診療連携拠点病院が担い、予防・支持療法・看護については地域の身近な医療機関が担うという役割分担が示された。基本的な考え方に基づいた医療行為例(資料2-スライド9)では、これらの役割分担を手術療法、放射線、化学療法、その他に分けて具体的な内容が示されている。
議論を進める場として協議会を活用し、各地域の地域医療構想や保健医療計画との整合性を図ること、また会議には患者を含めたすべてのステークホルダーの参加を必須とし、特に拠点病院までの通院など移動についての議論は不可欠であり、その理解を得られるよう協議していくことが必要である。協議会の役割として、がん種ごとのデータ収集分析、放射線療法に係る議論の場の設置、医療機関ごとの診療実績の発信、病院機能再編による拠点病院整備などが求められている。また、住民への周知や紹介先が分かる体制整備、都道府県内での進捗確認なども必要である。
兵庫県は従前から協議会に県が積極的に関わっていることや、患者会にも参加していただいていることなど、他府県より進んでいる部分もあるため、EBPMに基づく施策評価を強化すれば、さらに良いのではないかと考えている。現在、兵庫県ではロジックモデルによる進捗評価、施策評価がやや出遅れているところがあるため、厚生労働省のロジックモデル手法について、リードされている埴岡先生のもとで、まず私自身がその手法を学びつつ、他府県の先進事例についても教えてもらっているところである。その中でも、沖縄県が圧倒的に進んでおり、沖縄では協議会のメンバーが全員でロジックモデルによる評価を行い、それぞれの施策について継続するのか、中止するのか、強化するのかを判断できる状態となっている。沖縄県は琉球大学のがんセンター長が17年間ほど積み上げてこられた経緯があるため、同じことをすぐに行うことは難しいが、兵庫県としてどのように進めていくか、今後皆様と相談させていただきたいと考えている。
〇質疑・応答
- ⇒ 沖縄県で琉球大学を中心に、継続すべき課題・継続しない課題をシステマティックに検討しているとの説明があったが、同様の仕組みを兵庫県の協議会でも導入できるのか。
- ⇒ 本来はそのような取り組みを協議会として進めていくことが目的に合致していると考えている。ただし、沖縄県では17年前から都道府県拠点病院の院長が率先して取り組みを進めてきた経緯があり、また沖縄県は地理的に伊豆諸島から九州に相当する広さがあるにもかかわらず病院が少ないという事情があるため、必然的に集約化や均てん化が進んできた背景がある。沖縄県では20種類のがんについてワーキング会議を継続し、どの医療機関がどのがんを中心に担うかを明確化し、患者にも分かる形で提示し、医師会とも協力して誘導を行っている。一方、兵庫県は沖縄県とは状況が異なり、面積が広く、都市部と山間部で事情が大きく異なるため、沖縄と同じ方法で議論を進めることは難しい。自身が西播磨・北播磨で勤務した経験からも、地域差が大きいことを実感した。今後は、兵庫県としてどのように取り入れられるかを関係者と相談しながら進めたい。
- ⇒ 琉球大学および沖縄県がん対策推進協議会のロジックモデルが非常に整備されている。兵庫県でも第6次がん対策計画で初めてロジックモデルを作成したが、専門家から不備が多いとの指摘があった。ただし初めての作成であったため、そのまま進める判断がされた。今年が中間評価の年であることから、第7次がん対策計画に向けて、沖縄県レベルのロジックモデルに近づけるよう、工夫や学習を進めてほしい。
- ⇒ 集約化の議論も含め、県としてロジックモデルについて検討を進めていく必要がある。
(3)協議会会則及び幹事会運営要領の改正について(資料3/PDF: 628KB)
今回の協議会会則の改正は、まず、近畿中央病院が診療を休止することに伴い、令和8年3月31日をもって協議会メンバーから外れることなった。次に、令和8年4月1日付で宝塚市立病院が新たに地域がん診療連携拠点病院に指定された。また、兵庫県立丹波医療センターが地域がん診療病院から地域がん診療連携拠点病院に指定変更された。以上の三点に伴う改正である。会則別表の「兵庫県の地域がん診療連携拠点病院」では、阪神北圏域から近畿中央病院を削除し、宝塚市立病院を追加する。さらに「兵庫県の地域がん診療病院」から兵庫県立丹波医療センターを削除し、丹波圏域の地域がん診療連携拠点病院として挿入する。
幹事会運営要領の改正は、令和8年4月1日付で宝塚市立病院が地域がん診療連携拠点病院に指定されたことによる改正と、済生会が三田市民病院の指定管理者となったことにより、三田市民病院の医療機関名を変更したことによる改正の二点である。運営要領別表1の「兵庫県指定がん診療連携拠点病院」の阪神北圏域から宝塚市立病院を削除し、「がん診療連携拠点病院に準じる病院」の阪神北圏域において、三田市民病院を三田市民・済生会病院に改正する。
なお、協議会会則並びに幹事会運営要領の改正施行日は、第21回がん診療連携協議会の開催日である令和8年4月9日とする。
(4)協議会・幹事会並びに各部会の令和7年度活動報告及び令和8年度活動計画について
(資料4/PDF: 10.1MB)
①「協議会・幹事会」関連
令和7年度の協議会・幹事会の活動は、令和7年4月17日に第20回がん診療連携協議会をWEBで開催し、6月19日に第1回幹事会をWEBで開催、令和8年2月5日に第2回幹事会をWEBで開催した。また、令和7年11月8日には第15回兵庫県民がんフォーラムを神戸市教育会館で開催した。テーマは「みんなで話そう これからのこと 〜アドバンス・ケア・プランニングのすすめ〜」であり、現地とWEBのハイブリッド形式で開催し、担当病院は神戸市立医療センター中央市民病院であった。
令和8年度の活動計画は、令和8年4月9日に第21回兵庫県がん診療連携協議会をWEBで開催、本日6月11日に第1回幹事会をWEBで開催した。第2回幹事会は令和9年2月18日にWEBで開催する予定である。また、令和8年11月7日には第16回兵庫県民がんフォーラムを神戸市教育会館で開催する予定であり、テーマは「地域のがん治療の実情(仮)」としている。担当病院は公立豊岡病院である。演者はまだ確定していないが、公立豊岡病院の泌尿器科医師、呼吸器内科医師、低侵襲がん医療センターの藤井先生、さらに兵庫県保健医療部次長兼疾病対策課長の圓尾次長にご講演いただく予定である。
②「研修・教育」部会関連
令和7年度の活動は、まず11月に看護コアナース育成セミナーの開催を行った。テーマは「多様化するがん患者の一人一人の力を信じ、その力を引き出し、高める意思決定支援」であった。体験研修を県立がんセンターで実施し、講義・事例検討はウェブ開催とした。参加人数は24名であった。セミナーの開催として、研修・教育部会セミナーを10月11日に実施した。テーマは「膵がんの診療と治療の最前線」で、会場参加14名、ウェブ参加51名、計65名の参加があった。放射線セミナーは10月25日に開催し、テーマは「乳がんの診断と治療-update-」で、現地69名、ウェブ181名、計250名の参加があった。検査セミナーは12月6日に開催し、テーマは「がん診療における心エコー図検査の役割 〜がんサバイバーのQOL向上のために〜」で、現地34名、ウェブ70名、計104名の参加があった。薬剤師セミナーは1月31日に開催し、テーマは「がん治療関連心機能障害」で、会場36名、ウェブ252名、計288名の参加があった。がん診療連携拠点病院を対象とする第10回兵庫県がん化学療法チーム医療研修会については、諸般の事情により延期している。また、共催研究会として第15回兵庫県民がんフォーラムを実施した。
続いて令和8年度の活動計画として、看護コアナース育成セミナーを11月から12月にかけて開催。テーマは「日常ケアに潜む倫理問題をみんなで考えてみませんか?」であり、体験研修と講義・事例検討3回を実施する予定であり、募集人数は30名としている。セミナー開催については、研修・教育部会セミナーは10月17日に「肺がん治療の最前線」をテーマに開催予定である。放射線セミナーは10月10日に「緩和ケアについて」をテーマに開催予定である。検査セミナーは12月5日に「ヘムサイト(造血器腫瘍遺伝子パネル)検査」をテーマに開催予定である。薬剤師セミナーは2月13日に「がん薬物療法における皮膚障害」をテーマに開催予定である。いずれもハイブリッド開催を予定している。がん診療拠点病院に対する第10回化学療法チーム医療研修会の開催については、現時点では未定である。また、共催事業として第16回兵庫県民がんフォーラムが11月7日に予定されている。
③「情報・連携」部会関連
令和7年度の活動報告は、昨年から働き方改革の観点から開催回数をまとめて実施する方針とし、またコロナ対応が落ち着いてきたことから対面開催も取り入れた。令和7年9月には「高齢がん患者の意思決定にどうかかわるか~相談員としてできる情報支援の在り方~」をテーマに開催、多数の参加があり、相談員とともに知識を深めることができた。また、PDCAやピアサポーターとの交流会として、第2回の部会を2月28日に開催した。
令和8年度の活動計画については、部会の構成変更やピアサポーターのフォローアップ研修の形式変更などがあり、いくつかの変更点がある。部会は年間2回程度の開催を予定している。第1回は9月26日に開催予定で、若年世代・勤労世代に関するテーマを扱う予定である。これは、疾病対策課から国の検討が進んでいる旨の説明があったことも踏まえたものである。3月には1年の振り返りを行う部会を予定している。また、統括として事務局会議を概ね奇数月に開催する。
さらに、相談員研修関連の小グループを動かし、県内相談員の質の向上に寄与することを目指している。今年度の新たな取り組みとして、ひょうごがん患者連絡会との連携により、がんサロンやピアサポーターの養成を進める計画がある。患者会との交流を深め、労力を相互にシェアしながら効率的に取り組むことを目指している。現時点では、10月18日にがんセンターで第1回のトライアル開催を予定しており、詳細が決まり次第、報告や案内を行う予定である。
最後に、2月の幹事会でも取り上げてきたピアサポートの充足に関する件について、疾病対策課に対して、アンケートの解釈に関する質問をしていたが、「国の見解どおりである」との回答を得た。正式には、情報連携部会から各病院に書面で整理したものを届ける予定である。今回、これまでの解釈(ピアサポーターが患者か家族かは問わない)について、特段の変更はなかったことを報告する。
④「がん登録」部会関連
令和7年度の活動は、7月11日に部会を開催した。その中で、6月18日に開催された都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会のがん登録部会の内容について情報共有を行った。44施設56名が参加し、ウェブで開催した。院内外登録実務者ミーティングについては、1回目を11月28日にハイブリッドで開催し、西脇市立西脇病院が担当した。協議会ホームページに公表予定のがん登録情報について協議した。2回目は2月3日にウェブで開催し、兵庫医科大学病院が担当した。国立がん研究センターの江森先生に講師を依頼し、112施設266名が参加した。全国がん登録実務者研修会については、10月から12月の約3か月間、国立がん研究センターの松田先生を講師として、全国がん登録の届出事務に関する動画配信を行い、視聴回数は312回であった。
令和8年度の活動計画としては、6月にがん登録部会を開催し、都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会の内容について説明する。院内がん登録実務者ミーティングは10月と2月に開催予定である。全国がん登録に関する研修会の開催時期は未定である。
がん登録部会のPDCAサイクルとしては、①がん診療情報を収集・分析する体制整備(患者等に役立つデータのホームページ掲載)、②がん登録実務の精度向上(講義を含む実務者ミーティングの開催、研修参加、院内がん登録の二次利用におけるシステム改修など)。施設独自のシステム対応も含め、部会や実務者ミーティングで情報交換しながらレベルアップを図る。③全国がん登録情報の予後情報還元申請については、各拠点病院等が円滑に県へ申請できるよう相談支援を行い、情報共有を図っていく。
⑤「緩和ケア」部会関連
令和7年度の活動は、部会を年3回ウェブで開催した。また、部会運営に伴う事務局会議を偶数月に開催し、運営を進めた。令和7年度の緩和ケアフォローアップ研修会は、市立伊丹病院と近畿中央病院が主担当となり、12月7日にウェブ開催し、参加者は36名であった。第16回兵庫県緩和ケアチーム研修会は北播磨総合医療センターが主担当となり、令和7年12月17日にウェブ開催し、参加者は77名で、主に拠点病院の緩和ケアチームメンバーが参加した。緩和ケアチームピアレビューについては、主に拠点病院の緩和ケアチームを対象とする活動であり、令和7年10月22日にウェブ開催し、県立西宮病院が受審しピアレビューを実施した。また、症状緩和のための専門的治療体制に関する実態調査として、各拠点病院における神経ブロックや放射線IVRの体制についてアンケート調査を行い、詳細はがん診療連携協議会ホームページで公開している。第13回都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会・緩和ケア部会は、令和7年12月5日にウェブ開催され、出席した。
令和8年度の活動計画は、今年度も年3回のウェブ開催を予定しており、5月28日に第1回緩和ケア部会を開催した。運営事務局会議は偶数月第1金曜日にウェブ開催する。小集団活動については、緩和ケア研修会の開催に関しては事務局が実施報告を受ける形とし、小集団活動としては終了した。今年度の小集団活動は、以下の3つに変更している。①緩和ケアフォローアップ研修会(ウェブ開催、日時未定)、②第17回兵庫県緩和ケアチーム研修会(ウェブ開催、12月頃を予定)、③緩和ケアチームピアレビュー(ウェブ開催、受講施設は未定。希望があれば連絡を依頼)
症状緩和のための専門的治療体制に関する実態調査については、事務局が各拠点病院の実態をアンケート調査し、協議会ホームページで公開する形に変更した。さらに、今年度の新たな取り組みとして、医師を対象とした緩和ケア研修会に加え、「ELNEC-Jコアカリキュラム(看護師向けエンドオブライフケア教育プログラム)」の県内開催状況や今後の支援について、緩和ケア部会として実態調査を継続している。事務局として開催状況の把握と支援要望の確認を行う。第14回連絡協議会・緩和ケア部会は、令和8年11月26日にウェブ開催予定である。
⑥「地域連携」部会関連
がんパスの使用状況について、令和7年3月末時点におけるアンケート調査を行い、令和6年度の登録件数は、累計16,068件となった。がんパスについては、様々な取り扱い規約等の変更に合わせて修正を行っている。がん診療における地域連携の現況については、ウェブによる退院前カンファレンスは、実施施設が1施設増加したものの、実態としては194件減少している。また、遠隔診療についても1施設が実施していたが、件数としては80件ほど減少しており、コロナ明けの昨年度の状況として減少傾向が明らかになった。がんゲノム診療については、標準治療終了後にがん遺伝子パネル検査を実施、もしくは実施している施設に患者を紹介して治療につながった割合が平均9.4%であり、一般的に言われる8〜10%の範囲内で、平均的な数値であった。
今年度についても、昨年度と同様に、がんパスの使用状況や運用上の課題の抽出・改変改訂、がんの地域連携に関する課題抽出と対応を行う計画である。
◎がんの地域連携パスについて
(対象:がん拠点病院等46施設 令和8年3月31日時点)
2025年度は新たに1,768件のパスが使用され、累計17,836件となった。使用状況として、国指定拠点病院では少なくとも1種類のパスが稼働しており、県指定拠点病院も調整中の1施設を除き使用されている。準拠点病院については調整中の施設があり、積極的な活用をお願いしたい。
上位9病院でパス全体の72%が使用されているが、病院ごとに特徴があり、県立がんセンターや兵庫医科大学病院ではすべてのパスをまんべんなく使用している一方、関西労災病院では胃がんと乳がん、県立尼崎総合医療センターでは肺がんと乳がんが主に使用されている。新規パスとしては、前立腺がんのパスは、PSA(前立腺特異抗原)をフォローするという比較的簡便であることから多く使用されており、連携パスとして使いやすいパス作成の参考になると考えられる。パスの脱落率は全体で9.2%で、肝臓がんが31%と最も多く、以下肺がん、大腸がんが続く。脱落理由は社会的要因、がん再発、治療関係が主な要因である。バリアンス発生率は全体で0.1%で、昨年度の発生はゼロであった。
【アンケート結果の詳細抜粋】
- ・ パス適用中、他の疾患で定期的に通院している患者は途中でノート持参がなくなるという課題が挙げられ、ICTの発達により将来的には解決される可能性がある。ただし、現時点で県全体で共有できる仕組みを作るのは難しいとの意見があった。
- ・ 取り扱い規約などを掲載している連携ノート(追加)を丁寧に活用し、連携を工夫している事例も紹介された。
- ・ 乳がんでは連携医と密に情報共有し、連携強化に努めている。
- ・ 指導料に関する意見:算定方法の説明を行っているが、指導料が低すぎるのではないか。
- ・ かかりつけ医と拠点病院の二人体制に安心しているとの意見があり、医療者目線だけでなく、患者からの視点も考えて、フォローアップの見える化が必要である。
- ・ マニュアルを毎年配布してほしい。
- ⇒ 課題として、属人的で継続が難しい点が挙げられた一方、前立腺がんパスのように簡便で再発時にスムーズに対応できる事例も紹介された。胃がんパスについては症例数が減少しているものの、依然として一定数があるため、引き続き使用を促したいとの意見があった。昨年度の取り扱い規約変更に伴い、ワーキンググループで改変を検討していきたい。
◎がん診療における地域連携の現況について
ウェブによる退院前カンファレンスは一昨年度から減少したが、昨年度は増加しており、対面の良さはあるものの、忙しい地域の医師やスタッフが参加しやすいという理由でウェブ開催が増えた施設もあった。地域の状況に応じて使い分けることが望ましい。遠隔診療(リモート診療)については、実施施設は増えたものの、件数は52件と一昨年度より30件減少した。セキュリティやネット回線などインフラの問題が背景にあり、国は遠隔診療を推進しているが、まだ課題が多いとの認識が示された。がんゲノム診療については、標準治療終了後にゲノム検査につながった割合が12.9%で、一般的な10%前後と同程度であった。
【アンケート結果の詳細抜粋】
- ・ 患者との信頼関係、検査内容の丁寧な説明、早期の調整、PS良好な状態でのCGP実施、十分なサンプリングなど。
- ・ 一部施設では、外科医がホルマリン浸漬時間などに配慮し、確実にゲノム検査が行えるよう対応している事例も紹介されたが、見つかった臨床試験が首都圏だったので現実的につなげられなかったという課題もあった。関西圏での試験増加が望まれる。
- ⇒ 医療機関同士の詳細な情報共有、医師やメディカルスタッフの教育体制の充実、末期患者の急性期病院搬送の課題、血液疾患患者の輸血継続判断の難しさ、過疎地でのサービス格差など、協議会だけでは解決が難しい課題も多いことが示された。
(5)希少がん対策:ひょうご希少がんネットワークの運営について (資料5/PDF: 1,867KB)
ひょうご希少がんネットワークの運営は、昨年度より準備を開始し、本年2月の幹事会および4月の協議会で承認を得て、4月22日より運営を開始した。ネットワークの概要は、参加施設はがん診療連携拠点病院(国指定、小児、地域がん診療病院)で構成され、担当部署は各施設のがん相談支援センターとしている。参加病院がネットワークを形成し、診断、治療法、診療可能な施設等を情報提供し、患者の紹介、医療者間相談を情報共有していく。県内で希少がん診療が可能な施設情報を共有することで、患者・家族・医療者から相談があった際に迅速に対応できる体制を整えることを目的としている。今年度の参加施設は全19施設で、県立がんセンター、国指定拠点病院、小児がん拠点病院、地域がん診療連携拠点病院が含まれる。
ネットワークで共有する情報の一部として、国立がん研究センターが提供するデータ「希少がんの病院を探す」(がん情報サービス)を県内施設分に抽出し、がん種ごとに取りまとめて参加施設に配布している。これにより、相談対応を迅速に行えるようにしている。また、年次調査およびワーキンググループ会議の開催も計画している。
さらに、ひょうご希少がんネットワーク専用のホームページをがん診療連携協議会ホームページ内にバナーとして設置した。バナーをクリックすると専用ページが開き、対象となる希少がんの情報や相談内容を一般向けに分かりやすく掲載している。参加施設は医療圏ごとに一覧化しており、施設名をクリックすると各施設のがん相談支援センターのページへリンクする仕組みとなっている。今後、参加施設にホームページを確認してもらい、修正点があれば反映した上で完成版とし、各施設のホームページにもバナーリンクを貼ってもらいたい。また、一般の方にも広く利用してもらいたい。
(6)がん生殖医療について (資料6/PDF: 1,697KB)
現在の兵庫県がん・生殖医療ネットワークの構成として、兵庫県内にはがん診療連携拠点病院等が47施設、不妊治療施設が26施設あるが、がん生殖医療ネットワークの参加施設は4施設である。本ネットワークは2016年1月に設立され、2021年には「妊孕性温存療法研究促進事業」が開始され、厚生労働省から助成金が出るようになった。複数の学会がネットワークの運営に関わり、認定施設や登録事業への参加を促しており、要件を満たした4施設(兵庫医科大学病院、英ウィメンズクリニック、徐クリニック、第二協立病院)が参加施設となっている。助成金もこの4施設のみが対象となっている。
女性における妊孕性温存療法の実績について、2016年から2025年までの10年間で概ね40例前後で推移している。この40例前後という数値は、令和5年度の全国データと比較すると、兵庫県の0〜39歳のがん患者における妊孕性温存療法の実施割合は6.8%にとどまっており、全国的な5〜6%程度の傾向と同様ではあるが、妊孕性温存療法の周知や相談体制のさらなる強化が必要と考えられる。そのため、今回、がん診療連携協議会の47施設に対し、がん生殖医療ネットワーク担当者を1名選任してもらい、氏名・診療科・メールアドレスを事務局へ提出してもらった。これにより相談体制の強化を図る。各施設には委員選出にご協力いただき感謝申し上げる。
今後の課題は以下のとおりである。
①各施設の担当者との連携を通じた妊孕性温存療法の周知と相談体制の強化
②凍結実施報告に加え、ネットワークの取り組みを適宜報告し、必要に応じて担当者へ協力依頼
③日本がん・生殖医療学会のミニワークショップ等を活用した連携強化・啓発活動
④各施設の担当者、がん生殖支援チーム(血液内科、乳腺外科、がん相談支援センター等)を対象とした定期的な意見交換の開催
⑤がん治療医、生殖医療医、行政との連携強化
〇兵庫県がん・生殖医療ネットワークの今後の活動についての追加説明
がん・生殖医療ネットワークの担当者を各施設で決めてもらい、活動を広げていきたい旨を伝えたが、その背景として、AYA世代のがん患者数に対し、がん・生殖医療ネットワークを利用している患者が少ないという意見が寄せられている。そのため、活動をより広げていく必要性を強く感じ、兵庫県立がんセンターの山口先生、神戸大学産科婦人科学教室 教授 寺井義人先生にご協力いただき、ネットワークの活動を拡大し、産婦人科だけでなく、血液内科、乳腺外科など他診療科にも啓発を進めるため、今回各施設にネットワーク担当者の選出をお願いした。ご協力をいただき感謝申し上げる。具体的には、今年中(秋〜冬頃を想定)に対面、もしくはオンラインで第1回のワークショップを開催する予定である。そこで、兵庫県における妊孕性温存治療の現状について説明し、どのような患者が対象となるのかを改めて周知する。それまでに兵庫県の現状と課題を抽出する準備として、アンケートを作成した。現在、ほとんどの施設で担当者が決定しているが、残り2施設の担当者が決まり次第、アンケートを送付する予定である。アンケートは紙面またはGoogleフォームのいずれかで配布する方向で検討している。産婦人科だけでなく、AYA世代の女性・男性のがん診療に関わる多くの診療科の医師から意見をいただきたく、ご協力をお願いする。
【アンケート内容】
- ・各病院で診療しているAYA世代のがん患者数
- ・そのうち、がん生殖医療ネットワークまたはその他の妊孕性温存治療へどれだけ紹介しているか
- ・課題となっている点
(例:生殖医療施設が県南部に集中しており、県北部からは距離があること など)
(7)小児がん対策の進捗状況について (資料7/PDF: 2.1MB)
県立こども病院は、2013年に小児がん拠点病院の指定を受け、現在はがん対策推進基本計画の小児がん拠点病院事業第3期4年目にあたる。今年度は第4期の小児がん拠点病院の審査が予定されており、再指定を目指して体制整備を進めている。
小児がん拠点病院事業は、全国を7ブロックに分け、15施設が指定されている。しかし、近年の急速な少子化により、小児がん患者数は年間約2,500人から2,000人を下回りつつあり、希少性がさらに増している。そのため、15施設は多すぎるのではないかという議論が進んでいる。厚生労働省主催の「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」が3月と5月に開催され、議事録も公開されているが、方向性としては全国10施設に再編する案が示されており、新聞報道でも取り上げられた。したがって、今回の再指定では小児がん拠点病院は15施設から10施設に絞られる見込みであり、県立こども病院でも準備を進めている。現在の診療体制として、小児がん専門医を5名(非常勤含め6名)配置し、小児外科医も4名が対応している。小児外科以外の外科系専門医も小児がん診療に携わっており、あらゆる小児がんに対応できる体制を整えている。
県内および広域連携については、疫学的に小児がん患者数が減少していることが明らかになってきており、これまで国指定の小児がん拠点病院の下にカテゴリー1・カテゴリー2・カテゴリー3といった区分を設け、カテゴリー1-Aと小児がん拠点病院で全体の7割をカバーするという考え方が採られていた。しかし、現在はその枠組みが見直されつつあり、国指定の小児がん拠点病院を約10施設とし、その下に県指定の小児がん拠点病院を置く方向で議論が進んでいる。この都道府県指定の小児がん拠点病院は、原則として各都道府県に1施設選定される見込みであり、全国で40数施設が指定されることになる。これにより、国指定と都道府県指定を合わせて全体の約8割をカバーすることになる。こうした再編により、ブロックを超えた連携がより必要になることが明らかになってきた。県立こども病院では、これまで県立尼崎総合医療センター、神戸大学医学部附属病院などと強く連携し、カテゴリー0を含む11施設と協力して診療を行ってきた。新たな制度では、ブロック内に国指定の小児がん拠点病院が1つも存在しない地域が生じる可能性が示唆されており、広域連携の重要性が増している。兵庫県立こども病院は近畿ブロックの中で最も西に位置するため、中国・四国地方との連携がこれまで以上に重要になると考えられる。人材育成についても、ブロックを超えた協力が評価される方向となっており、県立こども病院では香川大学との連携をはじめ、全国10施設以上から人材を受け入れ、また送り出す取り組みを行ってきた。
また、新しい小児がん拠点病院の指定要件には、小児がんゲノム医療、造血細胞移植、遺伝子改変T細胞療法(CAR-T)に関する第三者認定が望ましいと明記されることとなった。県立こども病院は、2022年12月にCAR-T療法の施設認定を取得し、これまでに6例を実施している。また、造血幹細胞移植の実績も増加しており、先行施設との差が縮まりつつある。ゲノム医療については、2025年に造血器腫瘍遺伝子パネル検査「ヘムサイト®」が承認され、2026年6月1日から入院中にも提出できるようになったので、オンコパネル出展数が増加すると見込んでいる。新要項では、造血器腫瘍も含め固形腫瘍もパネル検査の提出だけでなく、エキスパートパネルへの貢献も求められるため、対応を強化する方針である。
さらに、新しい指定要件では「小児がんに対するドラッグラグ解消」が明確に記載されることとなった。国立がん研究センター中央病院をハブとして、国指定の小児がん拠点病院が治験推進やアクセス向上に貢献することが求められる。県立こども病院は昨年から国立がん研究センター中央病院より修練医を受け入れており、連携を深めている。
治験については、過去3年間の主体的な治験実施数や登録数が評価対象となるため、再発・難治例に対する治療選択肢を提供する目的で積極的に取り組んでいる。今年度中には、国立がん研究センター中央病院が主導するユーイング肉腫に対する国際多施設共同ランダム化試験(Inter-Ewing1)にも参加予定である。
療養環境についても、指定要件に「理想的な療養環境の提供」が明記されており、高いレベルが求められている。特に緩和ケアについては、小児緩和ケア加算が算定可能となったことから強化を進めている。県立こども病院では今年度から診療科として「緩和ケア内科」を新設し、同時に緩和ケアセンターを設立、精神科の関口医師がセンター長を務めている。
最後に、療養環境向上の取り組みとして、クラウドファンディングによりホスピタル・ファシリティドッグを導入し、今年4月から運用を開始した。皆様のご支援に感謝する。
(8)その他
① 姫路市遺伝性腫瘍症候群の検査等助成事業について (資料8/PDF: 164KB)
本事業は、すべての遺伝性腫瘍症候群を対象とし、がんの早期発見を目的として実施している。できるだけ多くの希望者に利用してもらいたいため、がん診療連携協議会の委員にも周知し、必要な方へご案内いただきたい。
対象者
- ・遺伝性腫瘍症候群を発症している者の第一度近親者(父母・子・兄弟)で、遺伝性腫瘍症候群を発症していない18歳以上の姫路市民
助成対象
- ・保険適用外の遺伝学的検査
- ・検査前後に実施する遺伝カウンセリング2回
助成額(自己負担額の7割を助成)
- ・遺伝学的検査:上限50,000円
- ・遺伝カウンセリング2回:合計15,000円
申請には案内記載の書類が必要であり、うち「証明書」については医療機関で記載を依頼する。記載者は臨床遺伝専門医または遺伝性腫瘍専門医にお願いする。昨年度の利用実績は8名であった。本事業の実施にあたり、遺伝学的検査および遺伝カウンセリングを実施している医療機関の状況把握のため、別添アンケートへの協力をお願いしたい。資料送付を希望する場合はアンケートに記載があれば後日送付させていただく。本事業を必要とする人に広く利用してもらいたいため、該当者がいれば病院からご案内をお願いしたい。
〇質疑・応答
- ⇒ 2026年6月の診療報酬改定で、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の第一度近親者(親・兄弟姉妹・子)も遺伝学的検査が保険適用となったが、その場合でも、自己負担分について助成申請できるのか。
- ⇒ 助成対象はあくまでも「保険適用外」の検査・カウンセリングに限る。保険適用の検査において、たとえ自己負担分が高額になったとしても、保険適用となった検査の自己負担分は助成対象外である。
② リンパ浮腫に関して
議員を中心に、リンパ浮腫に対する対策を講じてほしいという声が寄せられている。主な内容としては以下の点が挙げられた。
- ・リンパ浮腫を発症した際、どこで診療を受ければよいか分からないという声が多いこと
- ・自由診療と保険診療が混在しており、自由診療部分の負担が大きいこと
- ・晩期に発症するケースがあるにもかかわらず、患者がその情報を知らないことが多いこと
- ・啓発・周知・教育体制の強化が必要であること
- ・予防や早期発見につながる情報提供を検討してほしいという要望があること
これらを踏まえ、まずは相談支援センターが入口になると考えられるが、各拠点病院においても対応策の検討をお願いしたいとの依頼があった。
- ⇒ 県立がんセンターでもリンパ浮腫外来を設置しているが、対象者は子宮がん・乳がん患者が圧倒的に多い。後遺症としてリンパ浮腫が発生しやすい疾患の治療件数の多い病院では一定の対策が必要と考える。協議会を通じて、リンパ浮腫診療に関する情報共有や連携が図れるよう検討したい。
〇全体を通してのまとめ
- ⇒ がん治療は、今後均てん化から集約化へと向かうことになり、がん医療にも機能分化が求められる状況となっている。国としては、都道府県ごとに事情が異なるため、県内で意見を取りまとめるよう求めている。そのため、まずは何らかのデータに基づいて議論を進める必要があり、「がん登録」を基本として検討を進めたいと考えている。その上で、二次医療圏、あるいはがん医療圏(※二次医療圏とがん医療圏は必ずしも一致しない)ごとの現状の課題や意見を伺うことが重要となる。がん治療といっても、手術、化学療法、放射線治療など多岐にわたり、病院ごとに得意・不得意がある。また、医師の派遣元である大学の理解を得ることも不可欠であり、大学との調整も重要となる。こうした点を踏まえ、ワーキンググループを設置し、その中で素案を作成した上で、協議会に提案したいと考えている。また、国のがん拠点病院の指定要件が今後どのように変わるかは現時点では不明だが、県指定のあり方についても見直しが必要になると考えている。なお、7月30日に都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会が開催される予定であり、そこで方向性や新たな情報が得られれば、改めて皆様に報告したい。本件については、疾病対策課と相談しながら進める必要があり、今後も皆様の協力をお願いしたい。
〇PDCAサイクル実施計画管理表(別冊) (資料/PDF: 4.5MB)











令和8年度 第1回 がん診療連携協議会幹事会 議事録










