がんの地域連携クリニカルパス(以下、地域連携パス)とは、がん診療連携拠点病院と地域の医療機関等との間でかわされる各々の役割分担や医療者用地域連携診療計画表及び患者用診療計画表から構成されるがん患者に対する一連の診療全体の流れを体系化したものをいいます。
兵庫県医師会および兵庫県内のがん診療連携拠点病院などにより構成されている兵庫県がん診療連携協議会では、平成21年に地域連携パスに関するワーキンググループを立ち上げモデル案を作成し、さらに患者会での意見なども参考にして、県内において共通して利用していただけるように、5大がん(胃がん・大腸がん・肺がん・乳がん・肝臓がん)の地域連携パス(兵庫県統一版)を平成22年10月に策定しました。また、平成24年度には前立腺がんと子宮体がんの地域連携パスが追加となりました。そして、平成28年度にはこれまでの地域連携パスの問題点の見直しと修正が行われ、さらに平成30年度からは大腸がんESDの地域連携パスが加わりました。
地域連携パスを活用することで、地域のかかりつけ医(連携医)とがん診療連携拠点病院とが協力して情報交換・共有を行い、患者さんの視点に立った、安心で質の高い医療を提供・継続する体制を構築することができます。また、患者さんにとっては、病院での長い待ち時間や通院時間の短縮などの負担軽減、ご自身の治療計画や病状・経過の把握、さらにかかりつけ医の手厚い診療による不安の解消といった利点にもつながります。
がんの地域医療連携の推進についてのご理解・ご協力と、地域連携パスへのご参加をよろしくお願い申し上げます。
令和2年5月15日
兵庫県がん診療連携協議会 議長
富永 正寛