がんの地域連携クリティカルパス(以下、パス)とは、がん診療連携拠点病院と地域の医療機関等が作成する役割分担表、地域連携診療計画表及び患者用診療計画表から構成されるがん患者に対する診療全体を体系化したものをいいます。
がん対策基本法に基づくがん対策推進基本計画及びがん診療連携拠点病院の指定要件の見直し(がん診療連携拠点病院等の整備について(厚生労働省健康局長通知)(平成26年1月10日)に伴い、がん診療における医療機関の役割分担と地域連携を進めることで、がん医療の質の保証と安全の確保を図るため、5大がん(肺がん、胃がん、肝がん、大腸がん、乳がん)の地域連携パスの整備が求められております。
このような中、兵庫県医師会、兵庫県内のがん診療連携拠点病院などにより構成されている兵庫県がん診療連携協議会(以下、協議会)では、平成21年に幹事会の下に、がん診療における地域連携パスを協議・検討するワーキンググループ(以下、WG)を組織して「がん診療における地域連携パス」のモデル案を作成し、兵庫県医師会と協議会が、綿密な協議を重ね、さらには患者会等での集約意見なども参考にしながら、兵庫県内における医療機関において共通して利用していただけるように、兵庫県統一版を平成22年10月に策定しました。また、平成24年度には子宮体がんと前立腺がんパスを策定し、協議会のHPにすべての資料を掲載しています。
がんの地域連携パスについては、各地域の医師会との協議のうえ、説明会や連携医療機関の登録の後に運用を開始してまいりましたが、平成24年4月の診療報酬の改定で、地域連携パスに関する施設基準の届出書類についての簡略化が行われ、連携医療機関(かかりつけ医)からは施設基準の届出書類は不要となりましたので、今後は下記の通り進めて行きたいと考えています。
- 連携医療機関からがん患者を兵庫県内のがん診療連携拠点病院(準じる病院も含む、以下、拠点病院)に紹介時に、パス参加の意思表示を行う、もしくは、パスの適応と思われた場合に拠点病院から連携医療機関にパス参加の意思確認を行う。
- 連携医療機関がパス患者の受入れ可能の場合には、拠点病院から連携医療機関宛てにパス関連の書類などを送付する。
- 拠点病院から近畿厚生局兵庫事務所へ施設基準の届出書類を提出する。
「地域連携パス」を活用することで、地域のかかりつけ医(連携医)とがん診療連携拠点病院とが協力して情報交換を行い、患者さんの視点に立った、安心で質の高い医療を提供する体制を構築することを目指しています。また、患者さんにとっては、長い待ち時間や通院時間の短縮などの負担軽減や、ご自身の治療計画や経過の把握、かかりつけ医の手厚い診療による不安の解消といった利点にもつながります。
がんの地域連携の推進についてのご理解、ご協力と、がんの地域連携パスへのご参加をよろしくお願い申し上げます。
平成27年4月
兵庫県がん診療連携協議会 議長
(兵庫県立がんセンター 院長)
足立 秀治