第11回がん診療連携協議会(以下、協議会)が平成28年4月21日に兵庫県私学会館で開催された。兵庫県内のがん診療連携拠点病院15病院の代表者と関係9団体の代表者が参加した。協議会の足立議長、兵庫県健康福祉部の太田部長、兵庫県医師会豊田常任理事の挨拶と参加者の自己紹介があった。
第11回がん診療連携協議会(以下、協議会)が平成28年4月21日に兵庫県私学会館で開催された。兵庫県内のがん診療連携拠点病院15病院の代表者と関係9団体の代表者が参加した。協議会の足立議長、兵庫県健康福祉部の太田部長、兵庫県医師会豊田常任理事の挨拶と参加者の自己紹介があった。
協議会のHPに掲載。27年度は4月16日に第10回協議会を、また幹事会を3回開催した(6月4日、9月17日、2月25日)。
①兵庫県内のがん診療連携拠点病院等の指定状況
国指定拠点病院は10圏域で14病院が指定されている(変更なし)。また県立こども病院が全国に15施設ある小児がん拠点病院の1つに指定されている。神戸赤十字病院はリニアック装置の廃止予定のため、平成28年4月以降は拠点病院に準じる医療機関となる。甲南加古川病院は専門的ながん診療を行わなくなるため準じる病院から脱退となった。これにより県立こども病院を入れて国指定(15)・県指定(9)・準じる病院(23)の合計は47病院となる。
②幹事会運営要領の改正について(幹事、部会員の確認)
○上記に従い、兵庫県がん診療連携協議会幹事会運営要領が改正され、承認された。
○平成28年度の部会委員の変更と確認を行った。各拠点病院で確認の上、4月末を目途に回答を要請した。また事務局からの連絡は、すべて事務担当者から院内関係者への周知の体制構築を再度要請した。
③がん予防重点教育及びがん検診実施のための指針の改正
がん検診の指針改正により、本年度より胃がん検診・乳がん検診の検査項目の一部が変更となった。
④がん対策加速化プラン
がん対策推進基本計画に基づく平成19年度から10年間の75歳未満年齢調整死亡率の減少は17%程度にとどまる見込みで目的達成が困難な状況となっている。このため昨年がんサミットが開催され、遅れているため「加速する」ことが必要な分野の対策としてがん対策加速化プラン(3つの柱:がんの予防、がんの治療・研究、がんとの共生)が策定された。
⑤平成28年度兵庫県がん対策予算について
今年度は平成27年度に比べ、個別がん対策の推進としてC型肝炎に対するインターフェロンフリー治療薬が医療費助成の対象となり大幅な増額(1億円)となっている。
①「協議会・幹事会」関連
協議会は、27年度は4月16日に開催し、28年度は本日開催。幹事会はパスの改定等があったため昨年度は3回開催した。28年度は6月9日と平成29年2月23日の2回を予定.ひょうご県民がんフォーラムは28年度から持ち回りとなり、11月19日に開催予定(兵庫医科大学が担当)。
②「研修・教育」部会関連
28年度のがん看護実務研修は5月30日~9月9日までの34日間、県立がんセンターにて開催。27年は10月3日に兵庫県化学療法チーム研修を開催した。今後のセミナーでは5大がん以外も取り上げていく予定。県内のがん診療連携拠点病院の指定要件に協議会活動への参加があげられているが、参加に消極的な施設有り。積極的な参加が要請された。今後、疾病対策課は指定要件見直しのひとつの資料として参加状況等も調査していく予定。
③「情報・連携」部会関連
27年度の実務者ミーティングを4回、実務者ミーティング事務局会議として4回が開催された。今後はがん加速化プランで力を入れている就労支援に力を入れていき、目に見える成果を上げていきたい。ピアサポーター養成事業に関しても神戸大学の機能強化事業として県と合同で患者会と協力して開催していく。
④「がん登録」部会関連
27年度に、がん登録実務者ミーティング、研修会を年4回開催した。本年1月からの全国がん登録実施に向けた県内の医療機関対象の説明会を、尼崎・姫路・神戸の3ヶ所で開催した。現在の取り組みなどを調査しPDCAサイクルにまとめている。28年度はその他、全国がん登録に関する研修会の開催も検討中。
⑤「緩和ケア」部会関連
緩和ケアチーム研修会・緩和ケア研修会指導者の会を行い、PDCAサイクルに内容を取り入れ改善点として取り組んでいる。28年度からは新プログラムにて研修会を開催予定。26年度時点で2,400名余りの医師が研修会を受講しているが、未修了の医師に受講を促す。(28年1月時点で修了者は3,104名)。
⑥「がん地域連携パス」部会関連
27年3月末時点(平成26年度)のアンケート調査で国拠点・県拠点では1つ以上のパスが稼動しているが病院間でかなりばらつきがある。また、準じる病院ではまだまだ進んでいない。27年で県統一パス稼働から5年になるのでパスの改修案の策定を行い、昨日(4月20日)改修後のパスをHPに掲載した。今後は大腸がんESDパスや肺がんの化学療法のパスなどについても整備していく予定。
以上の平成27年度活動報告及び平成28年度活動計画は、すべて協議会で承認された。
がん患者の妊孕性が、がん治療によって消失または低下することがあるが、その対応として妊孕性温存をがん治療前に行うことが重要である。その情報を広め、対策を講じる目的で「がん・生殖医療ネットワーク」が発足し、協議会としてこれに協力することが承認された。
国のがん対策事業の一環としてがん診療医科歯科連携協議会を設置し、口腔外科の未設置病院への働きかけや、講習会開催、周知・普及活動、歯科医療機関マップの作成・整備等を行っている。診療情報提供書や患者様受診報告書等を作成して、一部の施設では使用もしている。歯科医療機関マップに関しては近日中に作成できる予定。
兵庫県立こども病院はポートアイランドに新築移転し5月1日に開院する。新病院では集中治療部門、感染対策の強化を図っている。4月から小児がんの陽子線治療が保険適用になったので、今後隣接する陽子線治療センター(29年秋に開院予定)との連携を進める。小児がん患者の平均余命は数十年と長いので長期のフォローアップが求められる。
兵庫県の全体目標としては29年までに75歳未満の年齢調整死亡率を25%減少させる(国の目標は20%減少)こととしているが、ここ10年間は18.7%の減少。全国平均の14.5%を上回っているが目標には到達していない。この対策として健康ひょうご21大作戦やたばこ対策などを推進している。28年度は女性特有のがん検診受診率促進事業や胃内視鏡検査導入に伴う胃がん検診従事者研修、肝炎ウイルスなどの精密検査費用の助成などの施策を総合的に推進していく。また療養生活の質の維持向上、がん患者の治療と職業生活の両立支援なども行っていく予定。