兵庫県がん診療連携協議会
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令和3年度 第1回兵庫県がん診療連携協議会幹事会 議事録  令和3年6月10日(木)Web開催

第1回幹事会が令和3年6月10日(木)にWebにより開催され、兵庫県内の地域がん診療連携拠点病院等43病院及び関係病院等4団体の代表者が参加した。
※幹事、事務担当者等、代理を含め88名が出席(欠席施設・団体 5)

(1)前回幹事会及び協議会議事録の確認

 今年2月4日開催の第2回幹事会、4月15日開催の第16回協議会議事録は、本協議会のHPに掲載されているので、内容の確認をしていただきたい。

(2)がん対策について (資料2/PDF: 804KB

①兵庫県内のがん診療連携拠点病院等の指定状況
 令和3年4月1日から指定状況に変更があった。神戸地区の神鋼記念病院と阪神南地区の兵庫県立尼崎総合医療センターが、県指定から国指定に変更している。これによって、国指定が16病院から18病院に、県指定が9病院から7病院に、準じる病院が21病院と変わらず、トータルでは46病院で昨年度と変わっていない。
 近畿ブロック小児がん連携病院は兵庫医科大学病院から指定変更の申請があり、類型1「地域の小児がん診療を行う連携病院」から類型3「小児がん患者等の長期の診療体制の強化のための連携病院」に変更になったと報告があった。

②令和3年度当初予算について
 兵庫県のがん対策推進条例を踏まえた基本的な取り組みとして、5つの柱で取り組み、その中でも新規事業、拡充事業について説明があった。
 個別がん対策の推進の中の「肝がん・重度肝硬変患者医療費の助成促進」では、令和2年度は助成の対象が入院で4か月以降であったが、令和3年度から入院・通院で3か月以降が対象となった。「若年がん患者等妊孕性温存治療費助成事業」については、県独自事業から国の事業として拡充する。
 医療体制の強化では「がん診療連携拠点病院の機能強化」、「県指定がん診療連携拠点病院支援事業」は、病院数を追加して拡充をはかる。
 がん患者の療養生活の質の維持向上では、医務課の事業になるが「在宅歯科医療推進事業」は、高齢者を対象に口腔機能調査の実施を予定。「在宅看護体制機能強化事業」については、新たに看護協会内に訪問看護総合支援センターを設置。新規事業として「がん患者アピアランスサポート事業」とし実施する。
 令和3年度当初予算は、令和2年度の14億3620万円から2663万円増の14億6283万円を計上し、がん対策を推進していくこととしている。

③がん患者アピアランスサポート事業の実施について
 がん治療による外見変貌を補完する補正具の購入費用を県と市町2分の1を負担して助成する事業を4月から18の市町で開始するが、年度途中の参加を検討している市町からの問い合わせがある。 補助金額は医療用ヴィッグ5万円、乳房補正具1万円又は5万円を上限とするなど資料によって事業の説明があった。

④若年がん患者妊孕性温存治療費助成事業の拡充について
 令和2年度は県独自で行っていたが、令和3年度からは国の事業となって事業内容を拡充して実施している。指定医療機関は、日本産科婦人科学会、日本泌尿器科学会が指定するまでの当分の間は、 兵庫県では兵庫医科大学、英ウイメンズクリニックを指定。対象治療と助成額等について資料により説明があった。

(3)会則及び幹事会運営要領の改正について
  (資料3/PDF: 504KB

 今回の改正は、令和3年4月1日をもって新たに兵庫県立尼崎総合医療センターと神鋼記念病院が、がん診療連携拠点病院として国から指定を受けたことに伴う改正である。会則については、第3条1項第2号の別表の阪神医療圏、神戸医療圏にそれぞれ2つの病院を加え、幹事会運営要領は第3条第1項第6号の別表1から、これら2病院を削除する。附則には第16回協議会開催日の令和3年4月15日から施行としていると説明があった。

※兵庫県がん診療連携協議会の組織体制と幹事・部会員一覧について

 協議会の組織体制は、添付資料のとおりである。幹事・部会員は運営要領の第3条に各病院長から推薦された幹事及び各部会長から推薦された者を議長が委員に指名するとなっていて、今年度の幹事・部会委員一覧表を添付しているので、確認いただきたい。

(4)協議会・幹事会並びに各部会の令和2年度活動報告及び令和3年度活動計画
資料4/PDF: 5,100KB

①「協議会・幹事会」関連
 令和2年度は、4月の協議会、6月の第1回幹事会は、新型コロナウイルスの影響で資料配布とした。第2回幹事会は今年2月4日にWebで開催した。第10回ひょうご県民がんフォーラムは、Webで「肺がん治療」について関西労災病院の担当で10月24日に開催したとの報告があった。
 令和3年度の活動計画は、第16回協議会は4月15日にWebで開催、第1回幹事会は6月10日Web開催、第2回幹事会は令和4年2月に開催予定。開催形式は、コロナの感染状況をみて決める。第11回ひょうご県民フォーラムは、10月23日にテーマを「小児とAYA世代のがん」として、県立こども病院の担当で「けんみんホール」で開催を予定しているが、コロナの感染状況によって開催方法は決めるとの説明があった。

②「研修・教育」部会関連
 令和2年度は、新型コロナウイルスの影響で、いくつかの研修会が中止となっている。「がん看護コアナース育成セミナー」は中止、「兵庫県がん化学療法チーム医療研修会」はWeb開催のみで11月14日に開催、研修・教育部会セミナーは10月10日、放射線セミナーは10月31日、検査セミナーは12月5日、それぞれ会場とWebのハイブリット方式で開催した。薬剤師セミナーはオンデマンド配信で実施した。
 ひょうご県民がんフォーラムは、関西労災病院の担当で開催し、YouTubeで配信したとの報告があった。
 令和3年度の活動計画は、がん看護コアナース育成セミナーはWeb開催、兵庫県がん化学療法チーム医療研修は11月27日、研修・教育部会セミナーは10月9日でテーマは「がんゲノム医療の新展開」、いずれも開催方法は未定、放射線セミナーは10月30日でテーマは「肺がんの診断と治療-update-」、開催方法はハイブリッド方式、検査セミナーは12月4日、薬剤師セミナーは令和4年1月15日と決まっているが、テーマと開催方法は未定。第11回ひょうご県民がんフォーラムは10月23日に「小児とAYA世代のがん」をテーマに県立こども病院が担当して開催するが、開催方法は未定との説明があった。
 令和2年度の評価としては、コロナウイルスのため中止したものがあるが、それなりの実績は残せたとの報告があった。

③「情報・連携」部会関係
 令和2年度は、がん相談実務者ミーティングを年4回、事務局会議を年6回、全てWebで開催した。令和3年度も基本的にはWeb開催で、がん相談実務者ミーティング年4回、事務局会議もそれに準ずる開催回数を予定しており、年間の進捗管理をしていく。
 令和2年度の評価としては、コロナウイルスの影響でピアサポーター養成研修、フォローアップ研修が中止となった。部会の運営方法を大きく変え、今まではコア施設で運営していたが、責任をすべての病院でシェアしながら一体化して情報・連携部会を運営し、かなり大きな組織改革を行ったとの報告があった。
 令和3年度は、5つのグループに分けてそれぞれ綿密な計画を立てて、コロナ下においても、しっかりピアサポーターの養成、相談業務の質の向上に努めたいとの説明があった。

④「がん登録」部会関連
 令和2年度については、コロナウイルスの影響でがん登録部会の開催を中止した。院内がん登録実務者ミーティングは、2回の開催を予定していたが1回となった。2月2日にWeb開催し、36施設65名の参加があった。都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会がん登録部会は、6月16日Web開催されたので参加した。全国がん登録実務者研修会は、コロナウイルスのため、開催を中止したとの報告があった。
 令和3年度活動計画は、がん登録部会は6月28日にWebで開催する。院内がん登録実務者メーティングは、今年11月と来年2月に開催し、院内がん登録集計報告等を行う。都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会がん登録部会は5月31日Web会議だったので参加した。全国がん登録に関する研修会は開催日程は未定であるが、例年200名ほど対面で参加があったので、今年度はWeb開催を含めて検討するとの説明があった。

⑤「緩和ケア」部会関連
 令和2年度の活動報告は前回の幹事会で概ね報告しているので割愛し、それ以降について、令和3年度の活動計画と併せて説明する。前回の幹事会開催の直後に厚労省から指定要件に係る事務連絡があった。その中で、緩和ケア研修会のロールプレイングのWeb開催は認めていない。(※説明途中に厚労省からロールプレイングのWeb開催を認める内容の通知が、6月中に出されるとの情報提供があった)
 認められれば、日本緩和医療学会からプログラムが作成され、主催者は研修会の完全Web開催が可能となる。添付されている緩和ケア研修会予定表では院内のみでの開催が多いが、後半の開催は状況が変わってくる可能性がある。
 緩和ケアフォローアップ研修会は、昨年度は3月7日にWebで開催して好評であったので、令和3年度も開催を予定している。緩和ケアチーム研修会は市立伊丹病院の担当で令和4年1月22日に開催を予定している。また、緩和ケア部会・地域連携部会合同セミナーを6月24日にWebで開催する。テーマは「Webによる退院前カンファレンスを始めるために」で、Webによる退院前カンファレンスは診療報酬で認められているので、これを機に推進したい。既に神戸中央市民病院、姫路赤十字病院で実施されており、神戸市医師会で手引書が作成されている。
 令和2年度の評価としては、「緩和ケアの質の向上」と「緩和ケアチーム診療機能の向上」において、十分ではなかった。この2件を令和3年度の実施計画に上げているとの説明があった。

⑥「地域連携」部会関連
 令和2年度は、アンケートによる調査で令和2年度3月末の1年間のがんパスの使用状況は、乳がん3,205件ほか累計で8,683件の地域連携パスの利用があった。その後作成された大腸癌ESDパスは、件数も少ないこともあって導入上の大きな問題点は上がっていない。連携ノートに関しては、取扱規約が変更されるたびにどうするかという問題があるが、コロナ下の影響もあって各施設対応としているとの報告があった。
 令和3年度も、連携パスの使用状況、大腸癌ESDパスの運用状況の調査を行う。また、がん地域連携に関する問題点として、6月24日に緩和ケア部会と合同で退院前カンファレンスについてセミナーを予定しているので、多くの方に参加頂きたい。
 2年度の評価として、連携パスを利用している施設が固定化している。これで良いとの考えもあるが、この状況について今後検討したい。がんゲノム医療についての情報共有には、まだ問題があると考えているので、今後検討していきたい。
 令和3年3月末のがんの地域連携パスアンケートについて、昨年度の使用パスは1,301件、累計では9,984件である。使用状況では準じる病院でパスを使用されていない施設があるが、協議会のメンバーであるので県下統一パスを使っていただきたい。逸脱は10%程度であるが、肺がんと肝がんがやや多い。逸脱が多いのであれば、本来はパスを見直す必要がある。バリアンスの発生は肝がんに多い。他に、連携先からの意見で「パスの受入れに不安がある」という項目があるが、基本的には何かあれば拠点病院が診るという説明をしていただきたいなど報告があった。

〇意見・質問

 地域連携パスについて

 ・県統一版の地域連携パスを作成してかなり時間が経過した。今はA4判のノートになっているが、いずれは電子媒体にした方がよいのか。

 ・「統一版を変えても使っても良いか」という質問がよくあるが、色々な規約が変更されたり、地域によって独自性があったりする。地域連携パスを使用するのは国の方針であるので、項目を増やしたり減らしたり簡略化することは状況に応じて行い、その上で連携の仕方を考えればよい。

 ・連携パスにのり易い疾患とそうでない疾患がある。のり易い疾患はどんどん使うべきで、肝がんのようにのり難い疾患は、どのように使うか考えなおす必要があるかもしれない。

 (回答)

 ・電子化については、過去に試みたが難しかった。時代が変わってきているので、皆さんの合意があれば、再度検討したい。

 ・規約の変更については、仕切り直して整えた方が良いかもしれない。各WGの幹事は大変かもしれないが、余裕があれば相談したい。

 ピアサポーターの研修等について

 ・情報・連携部会のPDCAサイクルに、ピアサポーターの養成講座やフォローアップ研修について記載されているが、対象者は拠点病院等の患者会か、それとも一般に募集されるのか。

 (回答)

 ・まだ決まっていないが、Web研修になるので対応できる方が条件になる。また、受講後は拠点病院等で活動できる方になる。詳細が分かり次第、広報します。

 ロールプレイング(緩和ケア研修)のWeb開催について

 ・ロールプレイングを完全Web開催は可能なのか。

 (回答)

 ・実際にデモンストレーションを行った。全国がん患者連絡協議会と厚労省技官にチェックを受け、十分可能という評価を得たが、条件は参加者3人にファシリテータ1人をつけるということであった。

(5)小児がんの進捗状況について (資料5/PDF: 4,200KB

  県立こども病院では、小児救急件数や手術件数は、新型コロナウイルスの影響を受けて減少しているが、小児がん患者件数等への影響は少ない。令和2年度活動報告は、前回の幹事会、協議会で報告している内容と大きく変更はないので、詳細についての説明は省くが、令和2年度の実績として小児がん治療で力をいれている陽子線治療件数は71件と順調に伸びていることを報告する。課題としては、小さい子供の照射時に緊張を解く麻酔科医の常勤が1名のため、少し待ってもらっている。また、神戸大学病院のがんゲノム医療連携病院となっているので、小児がんゲノム医療を積極的に推進していきたい。AYA世代の教育支援である高校生の遠隔授業は、コロナによって見なおされ、受信側に教師が付かなくてもよくなった。
 令和3年度の活動計画では、コロナによって研修会、研究会が中止や延期になり、開催してもすべてWeb開催となるとの報告があり、3年度開催の「小児がんカンファレンス」「小児・AYA世代のがんの長期フォローアップ研修」「小児がん看護研修」「小児・AYA世代がん患者家族教室」などの紹介があった。
 また、厚生労働省が情報公開している小児がん診療施設概要等について、兵庫県立こども病院の概要について紹介があった。

〇要望・提案

 情報の周知について

 ・今日の会議で、がん患者の補助具の購入費用を助成するアピアランスサポート事業、精子凍結を含めた妊孕性温存治療の助成金事業、緩和ケア研修会が完全Webで開催が可能となった。退院前カンファレンスのWeb開催などが新しい内容となるが、セミナーやフォーラム開催も含めて、これらのことを院内で周知をお願いしたい。

 協議会の会議のWeb開催について

 ・会議は出来る限りWebで開催していただきたい。出張、会議のために多くの人が移動するのは時間的に非効率的であるので、会議を短くしてWebでお願いしたい。

 (回答)

 ・昨年からコロナをきっかけにWeb開催ということになったが、多くの人が参加するには、一番時間に都合がつくので、いいのかなと考えている。


〇その他

 各施設のPDCAサイクル実施計画管理表について(資料6/PDF: 2,100KB

 ・資料として添付しているPDCAサイクルは、「がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針」の中で、各病院の取り組みについて情報共有と相互評価を行い、地域に対してわかりやすく広報することとなっているので、情報共有についてご理解お願いする。

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