兵庫県がん診療連携協議会
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令和5年度 第1回 兵庫県がん診療連携協議会幹事会 議事録 令和5年6月8日(木)Web開催

 第1回幹事会が令和5年6月8日(木)にWebにより開催され、兵庫県内の地域がん診療連携拠点病院等43病院及び関係病院等2施設・3団体の代表者が参加した。
 ※ 幹事、事務担当者等、代理を含め94名が出席 (欠席施設等:3施設)

(1)前回幹事会及び協議会議事録の確認

 今年2月9日開催の第2回幹事会及び4月13日開催の第18回協議会議事録は、本協議会のホームページに掲載されているので、内容の確認をしていただきたい。

(2)がん対策について (資料2/PDF: 8,448KB

①兵庫県内のがん診療連携拠点病院等の指定状況等
 昨年8月に国の拠点病院に関する整備指針が見直され、今年2月の幹事会では国の指定に関する検討会の検討状況を示したが、今回はその検討結果に基づく新たな指定状況のうち、昨年度と変更のあったところを説明する。
 北播磨圏域で昨年度まで県指定病院だった北播磨総合医療センターが国指定に、国指定だった市立西脇病院が県指定ということで、県指定と国指定が入れ替わる形となった。また、西播磨地域では、赤穂市民病院が地域がん診療病院ということで、拠点病院とは異なる指定類型になった。この地域がん診療病院はこれまで県内にはなかったが、平成26年に国の整備指針が改定されて制度化されたもので、拠点病院並みの指定要件は求められないが、拠点病院のない地域に、基本的には隣接する圏域の拠点病院とグループを組んで連携しつつ専門的ながん治療の提供或いは相談支援や情報提供などを行うこととなっている。丹波圏域では、県立丹波医療センターが今回は特例型という指定類型になっている。これは、8月に整備指針が見直され、強化された部分或いは追加された項目や要件が十分に満たされていないと判断されて、指定はされたが通常4年間の指定期間に対し指定期間が1年間となっている。このことから令和6年度以降をどうするかを今年度もう一度国の検討会に諮って決めることになるので、丹波医療センターは今後についての検討を宜しくお願いしたい。
 次に、がんゲノム医療拠点病院は、これまで県立がんセンター、神戸大学医学部附属病院、そして兵庫医科大学病院が拠点病院となっていたが、今回からは兵庫医科大学病院が連携病院になったという情報を提供させていただく。

②第5次「兵庫県がん対策推進計画」の取組状況について
 平成30年度から今年度までの5カ年で取り組んでいる現状となる。目標は全体目標として2つ挙げており、1つ目は「がんによる罹患者死亡者の減少の実現」。2つ目は「がんに罹患しても尊厳を持って安心して暮らせる社会構築」を挙げている。罹患率は全国10位以内、死亡率は全国平均より5%以上低い状態を目標に掲げて取組んでいる。罹患率は人口10万人単位で県は397.9で全国32位と目標の10位以内に届いていない状況。死亡率は平成27年以降全国平均を下回っており、現在は全国の67.4を下回る66.9だが、目標の5%以上低い状態に比べ、全国平均より0.7%低い状態で目標に達していない。
 個別目標では、第1節「がん予防の推進」の運動に関しては、運動、飲酒、食塩野菜摂取量などの食生活に関する目標がいずれも目標に達していない状況で、今後は「ひょうご健康づくり県民行動指標」による啓発や関係団体との連携を図りながら生活習慣の改善を図りたい。 受動喫煙では喫煙防止教室の開催、相談対応などの充実、喫煙防止に関する条例に基づく対策の徹底を図る。第2節「早期発見の推進」では、がん検診の受診率向上で目標は胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんともに受診率50%を掲げているが、いずれも達していない。目標に達していない原因としてコロナの影響も考えられ、受診率が1割から2割減少したとの報告もある。今後、受診率が伸びていない市町に対して、県が重点市町に指定して取組を促すとともに、積極的に取組んでいる市町に対しては国保調整交付金を交付するなど、その取組みをさらに推進していく。職域に対しては、受診率向上のために県と一緒に取組んでいただける企業と協定を締結し、従業員・顧客に対して検診の啓発を図る。特に中小企業の従業員、若しくはその扶養家族が受診された場合の費用を県が助成するなどし、その取組みを推進する。第3節「医療体制の充実」の1つ目「個別がん対策の推進」では、肝臓がんの罹患率と死亡率を全国平均以下にする目標に取組んできたが、減少傾向にあるものの全国平均以下には達していない。引き続き医療費の助成をはじめ医療体制の充実を図る。また、肝疾患連携拠点病院の兵庫医科大学病院に加え、昨年4月から神戸大学医学部附属病院にも加わって頂き診療体制の充実を図っている。2つ目の「医療体制の強化」では、協議会の研修・教育部会やその他の研修を通じて、がん専門分野における専門性の高い医療従事者の育成支援を行っている。3つ目の「がん患者の療養生活の質の維持向上」の緩和ケアについても同様である。次の在宅医療・介護サービスの充実のところは、他職種による情報共有をリアルタイムに行うバイタルリンクの導入が着実に広がっている。また、20代30代の末期がん患者の方への訪問介護を支援する若年者在宅ターミナル支援についても、少しずつ取組いただける市町が増えている。4つ目の「がん患者を支える社会の構築」の治療と仕事の両立で、がん・脳卒中・心疾患という3大疾病療養者が治療をしながら希望を持って働き続けられるように企業に対して支援を行う両立支援事業を実施している。拠点病院のがん相談支援センターではハローワークの両立支援コーディネーターと協力し、がんになっても働き続けられるように、或いは治療のために辞められた方の再就職を後押しする取組を神戸市立医療センター中央市民病院はじめ3病院で進めている。がん教育では、若い時からの教育が大事ということもあって学習指導要領も改正され、がんについての正しい知識の普及啓発を小中・高等学校と特別支援学校のそれぞれの段階に応じた取組が進められている。これらの取組により全体目標が達成できるよう取組んでいる。

③第4期「がん対策推進計画」の主な見直し等
 国のがん対策推進基本計画は、今年3月28日に第4期の計画が閣議決定され、計画期間は今年度から令和10年度までの6年計画となっている。第3期と今回見直しのあった項目の比較表でみると大きく変わったように見えるが、項目が移動したり、1つの項目が2つの項目になったものである。見直されたところでは、「がん医療」で「医療体制の均てん化・集約化」、「これらを支える基盤」では「患者・市民参画の推進」「デジタル化の推進」がある。「がん登録」は、「がん医療の充実」から「がん登録の利活用の推進」として、今回は「これらを支える基盤」に移っている。
 具体的な見直し内容として、1つ目の「全体目標」では、「がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんの克服を目指す」が、「誰一人取り残さないがん対策を推進し、すべての国民が、がんの克服を目指す」に変更されている。年代や性別のほか、身寄りがある人ない人、どこに暮らしていても、どんな境遇にあっても、安心して納得できる医療や支援を受けられるようにするが「誰一人取残さない」に言い換えて全体目標で示され、これが第4期計画のキーワードとされている。2つ目の「ロジックモデルの活用」は、これまで達成目標の評価が困難であったことなどから、今回は各施策の効果を正しく評価してPDCAサイクルの実効性を確保するためにロジックモデルを活用することとされ、その内容は現在も継続的に検討されているということで、今は案が示されている状況である。4つ目の「がん検診受診率の目標値の引上げ」では、これまでの目標値50%が60%に引き上げられている。現状の数値も50%に達していないが、細かく見ると肺炎は男性で53.4%と50%に達している。男女ともすべてのがん検診において、受診率が上昇傾向にあることから、今回60%に引上げるというものである。5つ目の「医療提供体制の均てん化・集約化の推進」は、がんの医療提供体制について、これまでは均てん化が推進されたが、がん治療が非常に高度化する中で質の高いがん医療を提供するためには均てん化だけでは難しい状況になってきている。このような状況で、拠点病院の役割分担或いは患者の適切ながん医療へのアクセスを確保した上で、一定の集約化を推進することも重要とされ、今回新たな規定が設けられる。6つ目の「感染症発生・蔓延時や災害等を見据えた対策の推進」については、感染症や自然災害が起きた時も必要ながん医療の提供ができる準備等も含めて、地域の実情に応じた連携体制を整備する取組みを推進する。7つ目の「患者・市民参画の推進」については、がん対策基本法の中で、がん対策推進協議会の委員にがん患者、その家族や遺族の代表者が加わることが規定されており、様々ながん対策の取組に参画することが重要であるという視点から、今回新たに項目として追加された。最後に「デジタル化の推進」は、コロナ禍においてデジタル化がかなり進展したと言われており、医療データの利活用、オンライン診療などが新たに追加された。今回、国で新たに計画が改定されたが、基本計画を基本に都道府県の計画を策定することが規定されているので、今年度は県の計画もこれらを見据えつつ改定をする予定となっている。

〇質疑応答:がん検診受診率の引き上げについて

 ・検診受診率は一部では50%を超えている部分もあるが、今でも50%をかなり下回っている状況で、60%に上げるのは、何か国が受診率を上げるための施策を考えているような話があったが、具体的施策はあるのか。

 ・令和2年度から3年間で受診率向上のための受診勧奨策を国で研究され、今年度から全国の各市町で実施する話を聞いている。具体的にどのように実施するかの説明会が実施されるが、内容に期待が持てないのではないかと心配している。

(3)協議会会則及び幹事会運営要領の改正について(資料3/PDF: 6,445KB

 協議会の改正は、令和4年8月のがん診療連携拠点病院等の指定要件見直しにより、赤穂市民病院が地域がん診療連携拠点病院から新たに地域がん診療病院として指定されたこと。また、北播磨圏域において、地域がん診療連携拠点病院の西脇市立西脇病院に代わり北播磨総合医療センターが指定されたことに伴う改正。会則では、第3条第1項第3号に「兵庫県の地域がん診療病院の病院長」を挿入し、それに伴う所要の整備を行い、別表の兵庫県の地域がん診療連携拠点病院の北播磨圏域において、西脇市立西脇病院から北播磨総合医療センターに変更、播磨姫路圏域の赤穂市民病院は削除し、新たに「兵庫県の地域がん診療病院」の項目を設け、播磨姫路圏域として赤穂市民病院を挿入する。
 幹事会運営要領の改正は、県指定がん診療連携拠点病院の北播磨圏域において、北播磨総合医療センターから西脇市立西脇病院へ変更する改正。要領では、第3条第1項第3号に「地域がん診療病院の病院長の推薦したもの」を挿入し、それに伴う所要の整備を行い、別表1の兵庫県指定がん診療連携拠点病院の北播磨圏域において、北播磨総合医療センターから西脇市立西脇病院に変更する。
 会則及び運営要領の改正施行日は、第18回兵庫県がん診療連携協議会が開催された令和5年4月13日とする。

(4)協議会・幹事会並びに各部会の令和4年度活動報告及び令和5年度活動計画について
資料4/PDF: 16,346KB

①「協議会・幹事会」関連
 令和4年度の活動報告は資料のとおり。令和5年度活動計画については、協議会は既に4月13日にWebで開催され、幹事会は本日1回目で、来年2月8日に第2回幹事会の開催予定。おそらくWeb開催になると思うが、開催方式は未定です。10月21日(土)に「ひょうご県民がんフォーラム」をけんみんホールで開催予定。テーマは「手術、薬だけじゃないがん治療(仮)」ということで、担当は加古川中央市民病院。

②「研修・教育」部会関連
 令和4年度活動報告は、がん看護コアナース育成セミナーは9月30日、10月7日、10月14日にWeb開催、22名参加。研修・教育部会セミナーは10月8日会場20名、Web99名、県立西宮病院の企画で開催。放射線セミナーは10月15日会場66名、Web193名、「膵臓がんの診断と治療アップデート」をテーマに開催。検査セミナーは11月5日会場41名、Web96名、「オンコロジー・エマージェンシー」をテーマに開催。薬剤セミナーは会場12名、Web146名、「消化器がん治療」をテーマに開催。がん化学療法チーム医療研修会は11月6日、6チーム25名、Web25名、「がん治療における妊孕性温存」をテーマに開催。ひょうご県民がんフォーラムは、11月26日会場71名、Web92名、「肺がんと膵がんの最新医療」をテーマに姫路医療センターの担当で開催した。
 令和5年度の活動計画は、がん看護コアナース育成セミナーは、8~9月に3回に分けて開催。がん化学療法チーム医療研修会は、前回と同じ「がん治療における妊孕性温存」をテーマに開催予定。研修・教育部会セミナーは10月7日、「がん医療におけるAIの新展開」をテーマに、明石市立病院の企画で開催予定。放射線セミナーは10月14日、「肝臓がんの診断と治療-update-」をテーマにパルテホールで開催予定。検査セミナーは12月2日、「婦人科領域のコンパニオン診断(仮)」をテーマにハイブリット方式で開催予定。ひょうご県民がんフォーラムは10月21日、加古川中央市民病院の担当で、「薬だけじゃないがん治療(仮)」をテーマにけんみんホールで開催予定。
 PDCAサイクルに研修会等の参加人数を記載しているが、やはりWeb開催で遠方の方でも参加しやすかったこともあると思う。Web開催は手間も費用もかかるが、希望としては参加人数も増えるのでハイブリットを続けていただきたい。会場に近い人、日程的に余裕のある人はFace to Faceで交流を深めることができるが、兵庫県は大きな県のため遠方の方がWebで参加いただけたら有難い。
 セミナー等の日程は今年度ほぼ決まっているが、希望としては土曜日一辺倒ではなく平日の夕方開催も考えて頂ければありがたい。以前アンケートでは、医師職は平日でもよいという意見もあったが、薬剤師、臨床検査技師、放射線技師等の技師職の方は平日が忙しすぎて18時とかの時間帯は無理ということで土曜日の希望が多かったようだが、「働き方改革」ということもあるので、徐々に土曜日から平日への考慮もお願いした。

③「情報・連携」部会関係
 令和4年度活動報告は、前回の会議で概ね説明したので割愛させていただく。令和5年度 の活動計画は、概ね大枠は昨年度とほぼ同じで、6月13日に就労支援の会議、9月に相談員研修、ピアサポーターとの交流会、PDCAサイクルの4つの部会を考えている。またそれを支援するための事務局会議などで、中心課題は「就労関連」と「ピアサポート」は昨年度と同じで、がん拠点病院の新整備指針に対応できるグループ構成に変更して、情報収集と取組を検討していくこととしている。就労支援推進については、引き続きネットワークづくりを目標にハローワークその他行政関係者との交流を深めていきたい。また、オンラインその他面談についてもマニュアル化等進めている。ピアサポート育成活用についても、引き続き、この兵庫県ピアサポートの活用が十分に行えていないという問題がある中、なかなか容易に解決しにくい問題が幾つかあるが、引き続き各機関と連携し、これらの問題解決を進めていきたい。

④「がん登録」部会関連
 令和4年度は、部会を6月28日Webで開催し、国の連絡協議会がん登録部会での内容について情報共有した。院内がん登録実務者ミーティングについては、11月と2月にWebで開催した。11月は国立がん研究センターの江森先生を講師に迎え、「膵臓・胆のう・胆管の解剖、UICC TNM病期分類について」をテーマに開催し、65施設、136名の参加があった。2月はがん登録情報として当協議会のHPへの公表案について協議した。全国がん登録の実務者研修会は、「全国がん登録の届出実務」と題して国立がん研究センターの松田先生に収録いただき、9月21日から約1か月間動画配信して300回を超える視聴があった。
 令和5年度の活動計画は、6月27日にWebで部会の開催を予定している。内容は昨年度と同様に、国の連絡協議会がん登録部会の内容を紹介したいと考えている。また、がん登録実務者ミーティングも昨年度と同様に開催を予定。全国がん登録の研修会は内容と開催時期等は今後検討する。
 PDCAサイクルは3項目を挙げている。一つ目の「がん診療情報を収集分析する体制整備」は、院内がん登録数や治療法といったものをHPに公開し、患者さんに役立つデータの掲載に向けて検討をしている。二つ目の「がん登録システムの精度向上」については、実務者ミーティング等で知識の向上、情報共有などに努めてきたが、院内がん登録の活用におけるオプトアウトの管理について、患者さんへの周知や対応について情報共有を図る。三つ目の「全国がん登録情報の予後情報還元申請」については、スムーズに申請できるよう情報共有を図ってきたが、今まで3病院からの申請にとどまっている。申請が少ない理由として病院側のセキュリティの体制や利用可能な還元データの蓄積が少ないことなどが考えられるが、今年度は各病院の実態について把握に努めたい。

⑤「緩和ケア」部会関連
 令和4年度の活動報告は、2月の幹事会で報告しているので割愛する。令和5年度の活動計画は、前回の報告と大きな変更はないが、5月25日に第1回の緩和ケア部会を開催している。開催は年4回でWebを予定している。他に緩和ケア研修会(ピース研修会)は協議会のHPに公開している。運営事務局会議は6月15日からスタート、各小集団活動を進めていく。第14回兵庫県緩和ケアチーム研修は加古川中央市民病院が担当し、開催日等は未定。緩和ケアフォローアップ研修会、緩和ケアチームピアレビューについては、詳細は未定であるが、小集団活動で進めていく。
 昨年度のPDCAサイクルは一応目標を達成したが、計画は継続していく。1つ目の「緩和ケアチームピアレビュー」については、昨年度、関西労災病院にパイロット的に受診頂いたが、関西労災病院へは受診結果を作成して報告する。今年度はブラッシュアップして密接な4施設を対象にピアレビューしたい。2つ目の「がんの痛みに対するインターベンショナル治療」については、拠点病院の指定要件に神経ブロック、放射線治療、緩和IVRに関する提供体制を公開するとなっているので、各施設の提供体制について調査して公開させていただきたい。
 今年度の緩和ケア研修会は、6月10日県立丹波医療センターから資料のとおり順次開催予定となっている。また、「症状緩和のための専門的治療体制」ということで、神経ブロック、放射線治療IVRの提供体制についての情報提供を協議会HPで公開している。各施設の状況が、簡単に〇、✕で、具体的な内容は資料の右側のとおり。

⑥「地域連携」部会関連
 令和4年度は、一昨年のデータになるが累計で1万1,387件の地域連携パスの利用があった。パスの利用によって医療者も患者さんも先が見通せるということで、引き続き活用をお願いしたい。パスは、様々なガイドライン、規約の変更があった場合は、修正を進めている。
 PDCAサイクルに関して、令和4年度は「パスの利用の継続」「パスの運用上の問題点」は全部出来たわけではないが概ね達成にしている。3つ目の「地域連携に関する問題点の抽出」は、連携の問題点、リモート実態調査、ゲノム医療などの情報連携は、十分抽出できなかったので、未達成としている。令和5年度もほぼ同様の目標を挙げている。
 がん地域連携パスのアンケート結果は、国指定の18施設ほぼ全てで1種類以上のパスが利用され、県指定では一部施設を除いて1種類以上のパスが利用されていた。準拠点病院では20施設中10施設が稼働しているが、県指定、準ずる施設では準備中が多く、少し利用を進めていく必要がある。2022年度の登録件数は1467件、パス脱落は271件、バリアンス発生は1件という結果が出ている。登録件数の内容では胃がん・大腸がんESDは少なく、五大がん以外では前立腺がんの利用が多い。パスの脱落は10%程度で、原因は社会的要因、その他要因が多く、その詳細について検討する必要がある。大腸癌パスはワーキングで検討され、かなりわかり易いものになったので、他のがんパスも患者さんに見やすいものに改定を考えていただき、患者さんの連携ノートも見やすくして頂きたい。
 がん治療連携計画策定料について努力いただいているが、コロナ禍で訪問機会が少なかったと思われる。また、退院後の策定料で30日ルールがある。30日を過ぎると連携できないが、妙案があれば事務局に連絡頂きたい。大腸がんもパスのタイミングを逸してしまう事例があるが、工夫できることがあれば教えて頂きたい。前立腺がんのパス使用の伸びは、泌尿器科オープンカンファレンスを医師会と共催したためで、利用が進んでいないところは医師会と組んで広報活動をする必要があると思う。連携ノートはスケージュールがわかるので、患者さんから安心できるという利点があり、面倒、煩雑という批判があるが丁寧な診療ができるという利点がある。また、連携ノートのA4はサイズが大きいという問題があるが、電子カルテで使えるようになれば一番良いと思っている。利用の仕方は、患者総合支援センターなどを窓口にして取りこぼしをなくす。既にがんパスを電子カルテに掲載している施設を参考にするなどがよい。
 地域連携について、48施設のうち9施設で厳密な遠隔診療ではないがWebで退院前カンファレンスが行われた。問題点としてセキュリティの問題とコストがかかること。安心安全なセキュリティ対策を講じて遠隔診療ができるかが課題。
 ゲノム医療拠点病院や連携病院が兵庫県の南部に集中し、他の病院ではその仕組みができない。がんセンターや大学病院が中心になって連携する方策を考えていただき、連携部会にも協力いただきたい。また医療者、患者側も情報が枯渇しているので、ホームページ等で情報共有をお願いしたい。

(5)小児がんの進捗状況について (資料5/PDF: 1,666KB

  昨年度は新要綱による第三期の小児がんの拠点病院の審査が行われ、当院が第三期の小児がん拠点病院に認定頂いた。
 今年度は、小児がん拠点病院に再発難治療患者の積極的受入が求められており、昨年度末にCAR-T療法(キムリア)の承認を受け、今年度から治療に参入して既に複数の症例が入っている。昨年度までは県内に対応ができる施設がなかったので患者が流出していたが、今年度は可能な限り受け入れたいと考えている。また、陽子線治療については、隣接する神戸陽子線センターと連携して陽子線治療を受け、広いエリアから多くの患者を受け入れている。さらに再発難治療に対する国内治験にも積極的に参加している。
 昨年、コロナの第7・8波流行期には小児の患者が非常に多く、それに伴ってスタッフの就業制限も多かったが、こども病院は面会、付添いを継続し、その状態を維持して乗り切ることができた。
 小児がん拠点病院の認定において、書面評価は全国3位であった。ただ緩和ケア提供体制に課題があるとの指摘を受け、当協議会の緩和ケア部会に当院の関係チーム加えて頂いて指導を受けながら充実させていただきたい。
 当院の小児がんの診療に関する施設の総合的な体制は、小児科の専門医が西日本で最も多いと聞いている。小児血液がん専門医5名、小児血液がん認定外科医4名、日本血液学会専門医9名、それによる様々なテーマに対応できる体制を敷いている。また、多職種の連携が求められているので、血液腫瘍内科の症例カンファレンス以外にも移植カンファレンス、腫瘍カンファレンスを積極的に行い、腫瘍カンファレンスはある程度オープンにして多数の先生方にも参加できる環境を整えている。
 問題の緩和ケアは、現在、緩和ケア認定医1名がチーム内におり、この医師を中心に活動しているが、他の小児がん拠点病院に比べ体制が脆弱だと指摘されているので、まず早期に研修施設認定を受け、院内で専門医を育成する体制を考えている。また厚生労働省からの求めに対応して緩和ケア外来を今年度中に開設し、小児がんの緩和ケアに関して連携施設からの相談を受ける体制に取組みたい。
 小児科のAYA世代のがん患者については、妊孕性が非常に重要であるため、妊孕性温存治療オプションがあることを患者さんに案内するよう努めている。また小児がんは8割を超えるサバイバルがえられるため、長期に併存疾患を持っている患者さんが苦労されることがあるということで、移行期医療、或いは長期フォローアップの体制が非常に大切と考えられている。神戸大学のご尽力により「兵庫県小児がんサポート検討会」を発足いただき、成人診療科の先生の協力もあってライフステージに応じた多様なニーズに対応した長期フォローアップ体制の整備を進めている。
 当施設は、近畿の4つの小児がん拠点病院の中でも最も西に位置しているため、中国・四国エリアとの連携も行っている。中国・四国には体制が整備されていない施設が多く、空白地域があることから、月に1回Webによる症例の相談を受けたり、紹介を受けたり非常に広いエリアの患者さんを受け入れている。加えて小児血液がんの専門医を研修する制度も体制が整わないため認定が維持できない施設が続出しているため、研修施設の条件をクリアしている当院と神戸大学医学部附属病院、今年度からは香川医科大学附属病院と連携して研修施設を構成し、他施設の小児血液がんの専門医の育成に力を尽くしたい。さらに、小児AYA世代のがん患者の相談支援にも対応できる体制を組み、昨年度は延べ2,000件を超える相談を受け、この件数は全国の小児がん診療病院の中で一番多く、それが評価されている。また、対応している教育のサポートは非常に重要で、県の病院局の協力を得て高等教育に関するサポートも積極的に行い、現在ICT技術を駆使した双方向型の遠隔授業をポケットWi-Fiと受信設備を提供して単位認定や進学の実績を上げている。
 研究に関しては一定の成果が求められ、2013年から神戸大学の連携大学院に、2022年から神戸大学の関係病院の臨床研究ISAに参加、昨年秋から文部科学省の科研費の指定研究機関の指定を受け、いくつかの臨床研究を自前で進めている。
 その他、こども・若年者の痛みを伴う処置を麻酔科医師の全面的な協力で年間600~700件の病棟麻酔を行って痛みの軽減に努めている。さらに陽子線治療においても麻酔科医師の協力により、化学療法、或いは鎮静が必要な患者を積極的に受け入れ、現時点で小児の陽子線治療に関しては全国で最多の実績を上げている。

(6)その他 (資料6/PDF: 2,420KB

  本日資料のPDCAサイクル管理表で各病院の取り組み状況、令和4年度の評価と令和5年度の実施計画を共有している。情報共有についてご理解いただきたい。

〇要望:がんフォーラムにおける特設コーナーについて(ひょうごがん患者連絡会)

 ・今年10月に「ひょうご県民がんフォーラム」が開催される予定ということだが、昨年と同様に受付周辺で、がん患者会が県内にたくさんあることを、講演を聞きにこられた方に紹介したいので、そのような場を設けて頂きたい。

 ・一般市民の方に広く知ってもらうために設けます。また事前に相談する。

〇要望:がん検診率10%アップの説明について(ひょうごがん患者連絡会)

 ・疾病対策課から来週に国からがん検診率向上に関する方策の説明があると聞いていると話されたが、説明の内容を教えていただきたい。ひょうごがん患者連絡会として検診率上昇に貢献できたらと思っているので、宜しくお願いしたい。

 ・詳細は国の説明を聞いてからになるので、対応については改めてお願いする。

〇要望:協議会の会議、イベントの平日開催について(関西労災病院)

 ・当院の職員も協議会の部会に参加しているが、結構土曜日の会議が多く、家庭を持つ人、事情があって土曜日は都合がつかない人が多い。正直、かなり負担になっている。やはり各部会は、できるだけ土曜日の会を減らして平日の時間、勤務時間内に行えるように心がけるべきである。

 ・以前からそのような話を伺っていて、コメディカルの検査技師、薬剤師に平日開催と言うと時間がないので、やっぱり土曜日という意見が多かった。先生が言われたように、「働き方改革」のこともあるので、今年度は開催日は決まっているが、もう一度各部会で平日開催を検討していただくよう、通達を出そうと思う。そのような対応で部会がどのように回答されるかわからないが、いかがか。

 ・私が担当している研修・教育部会に関しては、セミナー等で年1回とかになるが、申し上げたいのは各部会の中の会議が結構、土曜日が多いように見受けられる。確かに土曜日でないと時間が取れない人もいる反面、土曜日は体がしんどいとか、介護や子育てとか色々と事情がある人がおられる。これは仕事と思われるので、せめて半分ぐらいは勤務時間内ということにしていただく。もちろんWebでもいいが、Webといっても結局は土曜日その時間帯は拘束される。各部会での会議はできるだけ平日の時間内ということを、この会の全体としての方向性としていかがか。部会長、部会委員も本日の会議に参加されているので、この点について各部会長の意見を聞きたい。

 ・緩和ケア部会は、部会会議は基本的に平日開催をしている。協議会の会議自体は業務と思っており、各施設での調整が必要になるが平日開催を理解いただきたい。なお、研修会、セミナーはある程度の時間が必要になるので土日開催をお願いすることが多いが会議に関しては、平日開催をご理解いただきたい。

 ・今の意見では、会議は夜ではなく平日の勤務時間内に働き方改革から考えると会議等はすべて平日の日勤単位で開催することを、各部会の来年度目標に入れていただくことと、各病院で調整いただけるということでよろしいよろしいか。

 ・地域連携部会は、基本的にはメールを活用しているが、メーリングリストや事務局のお世話でパスの見直しをした。メールは時間も取らずすぐに情報共有でき、履歴が残ってお互いに見えるので、Face to Faceでなくてよいので、そんな形でされてもよいと思う。

 ・情報・連携部会も、基本的には平日に会議を開催し、できるだけ休日開催にならないように努めている。ただ、大きな会議になると参加者、招聘する講師、一般の方の参加がある場合など、どうしても土曜日、日曜日に開催しなければいけないことがあるが、課題として認識はしている。私も土日参加できない立場であるが、現実ではやむを得ない場合がある。平日開催であると通常業務との兼ね合いが問題となると認識しており、協議会の業務が仕事として認識されていない人はいないと思いますが、協議会業務で通常業務を減らすことができないと思うので、そのあたり重要な指摘ですが、どのようにすれば良いか悩んでいる。

〇要望:国立がん研究センターのインタビュー調査について(協議会議長)

 ・都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会(国の協議会)が、毎年、国立がん研究センターで開催され、私も出席している。その会議で、全国に400位ある国指定のがん拠点病院の活動が都道府県によって非常に温度差があるので、がん拠点病院の活動を客観的に評価する指標を作る必要があるという意見が出た。それを受けて国立がん研究センターから、がん拠点病院としての客観的な評価指標の策定を目的に、がんセンターに「インタビュー調査」をしたいと、7月初旬に来られる。今、国指定のがん拠点病院は、各圏域の診療実績或いは指定要件の人員配置を満たすかなどで、国指定と県指定が決められているが、今後がん拠点病院を評価する何か有効な評価指標或いは是非この点を考慮してほしいというような着目点などがあれば、メールで事務局までご意見を頂きたい。実際のインタビュー調査は来月初めなので、今月中に是非ご意見をいただきたい。

 ・国のがん診療連携拠点病院等の整備に関する指針の中で、他の拠点病院と協働して都道府県協議会を設置し、その中でがん診療について検討することが盛られている。それをしないことは、国指定のがん拠点病院であることを名乗ってはいけない。当然、院長なり事務長はそのようなことに対して人の手当、何か業務の手配なりをしてしかるべきと思う。頑張って診療しながらこのようなこともお手伝い願えたらと思う。

 ・国の指針に従って協議会を作り、部会も作っているが、おそらく国は都道府県によって非常に温度差があって、単に部会を作ったがあまり活動していないところもあるなど、客観的に必要最低限、活動する項目を作って、どの程度満たしているかを評価するのが良いかと個人的には思う。

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