兵庫県がん診療連携協議会
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第1回幹事会 議事録  令和元年6月6日(木)開催

第1回幹事会(以下、幹事会)が令和元年6月6日に兵庫県学校厚生会館で開催された。兵庫県内のがん診療連携拠点病院等48病院の代表者と関係団体4団体の代表者が参加した。

(1)H30年度第2回幹事会ならびに、 H31年度第14回協議会議事録の確認

(2)兵庫県のがん対策について (資料2/PDF: 1.9MB

①兵庫県内のがん診療連携拠点病院等の指定状況
 今年度、新しい指針に基づいて再度指定となった。がん圏域は阪神北圏域の市立伊丹病院が国指定になったそして北播磨圏域の北播磨総合医療センターが新たに県指定になった。新たに準ずる病院の指定は無かったが、国指定15県指定9 、準ずる病院22、合計で46これと、小児がんの拠点病院として、兵庫県立こども病院が指定されている状況で、がん対策の事業を進めていきたい。

②兵庫県がん対策推進計画の改定の概要
 平成30年度の4月に策定して、今まで5年計画だったが、今回からは6年計画になっている。がんは慢性疾患になってきたとことと、兵庫県はがん検診の受診率が低いということが課題である。それを主な背景とし、8つの改定の視点から2つの大きな目標を上げている。1つ目は、がんによる罹患者、死亡者減少の実現。2つ目は、がんに罹患しても尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築、がんとの共生を図っていくということで個別の施策を進めていく。

③兵庫県がん対策推進計画の取組状況について
 「がん予防の推進」では、食育やたばこ対策、小学生から教育対策を行っていく。今年1月より全国のがん登録のデータを還元して利用できるようになったので要綱等を作成し、これらを利用しながら施策を立てていきたい。
 「早期発見の推進」では、検診率が低いが法的ながん検診の裏付けがあるのは健康増進法による市町検診である。主な取り組みとして重点市町の指定がある。2年連続でがん検診率が前年度から下がっている相生市、加古川市、播磨町の3つを指定している。今後の取組みとして、2年間の計画で、重点市町を支援していきたい。職域については法的にがん検診の裏付けが無い。職域で行われている検診は、福利厚生の一環として行われているが、中小企業の検診率が低いため、今までチャレンジ企業において助成していた。チャレンジ企業に入っていないところでも、従業員100 人以下の中小企業には、検診の費用の助成を今年度から行っている。検診は評価をしなければ検診しただけということになるので、精度管理という問題も重要になる。昨年度に生活習慣病検診等管理指導協議会を設置したので、今年から検診の時に検診の評価をし、県内全域の均てん化を図りたい。
 「医療の充実」では、兵庫県はC 型肝炎の罹患率が高く、そこから発生する慢性肝炎からの肝がんが多いことが問題であったが、肝炎に関して力を入れてきて、ほぼ全国と肩を並べるところまで近付いた。そこで兵庫県が指定している専門病院は、肝炎医療のコーディネーターを置くことを条件とし、医療と患者をつなぐことを強化していきたい。また、がん患者の療養生活の質の維持向上について、がんと診断された時からの緩和ケアを始めることは、医師だけではなく、メンタル面において、がんになった時の緩和ケアというのはこういう形であるということを知って頂きたい。引き続き緩和ケアの研修会もお願いしたい。また、がん性疼痛緩和指導管理料の届出については、研修を受ければ取れるので、是非先生方には受けて頂きたい。 
「在宅医療」では、治療しても最終的にはどうしてもしんどい方が出たり、年齢的に問題があったりするので、病診連携、医療と介護の連携がうまくいかないと在宅医療は推進しない。主な取り組み状況の中に在宅ターミナルケア支援というものがある。20代30代のがん患者は慢性合併疾病ではなく、介護保険を受けられない年代であるので、この介護との谷間を埋める制度である。20代30代で在宅での最期、尊厳のある療養生活を希望する人がいたら、市町に働きかけて利用して頂きたい。
 相談支援センターでは、近年1年間に約14,500件の相談を受けている。相談支援センターは、その病院に通院している人だけではなく、周辺住民からも相談を受ける体制になっているが、周知が足りないのではないかとの意見をよく聞く。先生方も、地域の中での相談支援センターであることの周知をお願いしたい。
  最後に、がん患者を支える社会の構築について、これを大きく分けると、医療・治療と就労、あるいは教育、これらの両立の支援という問題である。今までは、がんの治療のために一旦就業等を辞めて、退職されて、完全に治ってから再就職ということでハローワーク等と連携して支援をしてきた。しかし、根本的にがんの治療が入院から外来にシフトしており、体への侵襲の少ない治療方法が選択される率が高くなっているので、長く治療を続けながら就労も続けられる状況が整っている。そのため、産業保健総合支援センターとの両立支援促進、こちらも活用しながら離職防止に努めたいと思っている。

④がん対策推進条例について
 今年4月から施行している。兵庫県は国に先立って昭和63年に「ひょうご対がん戦略」を策定していた。ところが国が平成19年にがん対策基本法という法律を策定し、それに伴った都道府県計画を策定することになったため、「ひょうご対がん戦略」の第3次計画から国の都道府県計画の位置づけということで計画を進めてきた。また、それと合わせて、平成23年に、兵庫県は県民全体の健康づくりのために「健康づくり推進条例」を制定し、この中で生活習慣病等の健康づくり、歯と口腔の健康づくり、心の健康づくりと3つの大きな柱の中の生活習慣病等の健康づくりの中にがん対策を位置付けて、がんの予防・早期発見を中心に、条例という法律の面ではこちらの「健康づくり推進条例」、計画としては、「がん対策推進計画」ということでやってきた。
 しかし、なかなか健康づくりだけでは条例がカバーできないという問題が出てきた。がんは、「完全不治の病」から「長く付き合う病気」へ変わってきた。また、がんの登録制度が始まって、非常に科学的なデータを元に対策がとれるようになった。それから長年計画や推進条例をやってきても受診率が低迷している状況が続いている。このような状況が重なって良いタイミングだということもあり、この4 月にがん対策推進条例を制定した。資料の「責務」についは、これは新たにそれぞれに責務を課すというより、今まで市町や、医療保険者、医療関係者、あるいは事業所、県民、皆さんが行って頂いている責務というのを条例の事項として制定させて頂いているとご理解頂ければと思っている。
 基本的な取り組みだが、兵庫県の「がん対策推進計画」を実行するための裏付けをするという形でまとめている。大きな項目は、予防と早期発見、医療の充実、それと特性に配慮したがん、小児がん、固有のがん、アスベスト、女性特有のがん、このように条建てしてしっかりと特性に配慮する。これからのがんの共生については、がんに罹患しても暮らせる環境づくりということで、治療と就労、あるいは治療と就学ということを条建てて書いている。また、小さい時からがん教育を行うということは、成人になっても正しい行動をする、即ち検診を受けたり、何か症状があれば確実に医療につながるなど、そういう行動を起こすもとの礎となるので、教育委員会の方と一緒に進めていきたい。また、商品・サービスの開発提供というものがある。様々なニーズがあるが、がんについては一律のサービスでは満足が得られない状況が現実なので、体の状況や年齢だけではなく、経済状況や何を一番望んでいるか、それぞれ個人バラバラであるので、選択肢を広げて色々なものが利用できるように、これに携わる民間の力を活用しながら、医療の保険料のカバーであったり、様々な製品の開発であったりを民間と一緒になって進めていきたい。

⑤平成31年度当初予算について
 今年度はがんに関連するところに約 14 億 5000 万円を予算計上している。資料の「拡」と書いているとこは、今年度から少し拡充し、「新」は、今年度から新しくしている事業である。まず、「がん予防の推進」より「受動喫煙対策等推進事業」であるが、今年が受動喫煙の防止条例の改定の年になっているため、昨年度に比べて予算化している。「肝炎ウイルス初回精密検査の実施」では、これまでは保健所の検査等で肝炎の疑い、陽性になった方の精密検査を初回の精密検査としてきたが、対象を拡大したことで予算を少し上乗せした。それから「早期発見の推進」の「集団検診車整備事業」は、検診車 12 台を健康財団ならびに姫路市医師会に配備しているが、来年度は乳がんの検診車の更新にあたっており、予算を計上させている。
 新しい事業として、「特定健診・がん検診受診体制の整備」だが、兵庫県は特定健診が国保加入者を中心にあまり高くないということ、がん検診率も低いということで、今までこの特定健診とがん検診のセ ット検診等も進めてきたが、がん検診の受診率は向上していない。そこで、特に住んでいる地域と就業している地域が遠い方が、居住地域を越えてがん検診を受けられるように、今後医師会の意見を聞きながら進めていきたい。しかし、整備しなければいけない事項がまだ沢山あるので、今年度からスタートというわけにはいかないが、是非とも来年度からは実施し、がん検診の受診の環境整備を進めたい。「医療体制の充実」だが、「インターフェロン等の医療費の助成」は、昨年と比べると約1 憶 3000 万円くらい減っている。これはC 型肝炎が治る時代となったので、C 型肝炎の治療費が受給される限度が減ったため、これらの実績に見合った現象で、助成や支援の内容としては、同じ内容で行っている。次に拡充された「肝がん・重度肝硬変患者入院医療費の助成」は、昨年の 12 月から行っている事業である。この事業は、肝硬変あるいは肝がんの人が、高額医療費の支払いを超える月が 12 か月のうちに 4 か月以上あった場合には入院費を助成するという制度である。まだ利用される方が少ないので、対象になる人が居れば、この制度を利用いただきたい。がん拠点病院の予算が少し付いているところについては、国指定に市立伊丹病院がなったということで予算計上している。
 次に「在宅医療の緊急対策事業」は、24 時間の訪問介護、これは在宅を進めるうえで外せないということで予算を付けている。それから「がん患者を支える社会の構築」に新しく「三大疾病療養者の治療と仕事の両立支援事業」がある。特に中小企業等において、従業員が癌、脳卒中あるいは心筋梗塞などの心臓欠陥病になった時に、解雇に至ったり、あるいは従業員が会社に気を遣って自ら辞職を申し出るという状況になるということが分かっているので、まず一旦は治療するために離職するが、その間に代替職員を雇って、完全な離職を防止するという事業である。これは、事業所と県が半々で、県は最大 10万円を助成する。期間としては、乳がんが罹患して職に戻られるまで約7か月というデータがあるので、これに合わせて7 か月を期間の上限としている。

⑥会則及び幹事会運営要領の改正について
 県内のがん診療連携拠点病院の指定状況に一部変更があったことから、その内容に沿って改正を行う。協議会会則については、兵庫県の地域がん診療連携拠点病院について、阪神圏域に新たに市立伊丹病院が加わったことによる改正である。幹事会運営要領については、県指定のがん診療連携拠点病院から、市立伊丹病院が国指定になったためにここから外れ、北播磨総合医療センターが準じる病院の中から県指定になったことによる改正となっている。いずれも先般4月に開かれた協議会において承認されており、4月11日からの施行となっている。

【質疑応答等】
 (意見)兵庫県に「がんの推進条例」が制定された。今まで「がん対策推進基本計画 」では実施機関である市町などの役割が見えてこなかったと感じている。この条例ができて、それぞれの責務の中にもしっかりと役割も出てきました。先生 方から各地域に呼びかけて頂けたら良いと思う。兵庫県は全国に先駆けて特化した色々な事業、新しい事業を行っているように思う。治療と就労の支援や、若年者の在宅の支援や、小児がん等でせっかく予防注射をしたけれども免疫力がなくなって、再度ワクチン接種をしなければいけない場合の助成など、全国に先駆けて兵庫県が取り組む事業として計画してくれている。それが皆さんのご協力、また医師会のご協力があって、隅々まで実施されるようにと思っている。  

(3)協議会・幹事会並びに各部会の2018年度活動報告及び2019年度活動計画について
 (資料3/PDF: 5.9MB

①「協議会・幹事会」関連
 29年度は、4月20日に協議会(第12回)を、6月と31年2月に幹事会を、11月には兵庫県がん診療連携協議会主催の第7回兵庫県がんフォーラムを開催し合計242名が参加した。テーマは「ここまで進んだがん治療」(神戸大学附属病院、神戸市立医療センター中央市民病院、神戸市立西神戸医療センター、県立こども病院が担当)。30年度は、4月26日協議会(第13回)を開催し、幹事会は本日6月28日と2月に予定。11月17日に第8回ひょうご県民がんフォーラム開催予定。テーマは「がんと共に生きる」(姫路赤十字病院、姫路医療センター、赤穂市民病院、公立豊岡病院)

②「研修・教育」部会関連
  昨年度は、がん看護実務研修の開催、これは毎年6月から9月にがんセンターで行っている。「第 4回兵庫県がん化学療法チーム医療研修会」は、10月6日に「遺伝性腫瘍」というタイトルで開催した。各部会のセミナーは、放射線セミナーが 10月13日、テーマは「子宮がん」。研修・教育部会セミナーは、10月27 日、テーマは「食道がん」。検査セミナーは、12月8日、テーマは「婦人科領域のがん」。薬剤師セミナーは12月15日、テーマは「がんゲノム医療と人材育成」で開催した。第8回ひょうご県民がんフォーラムは、「がんと共に生きる」をテーマに11月17日に開催した。
 今年度は、がん看護実務研修は、6月から8月末までがんセンターで予定している。「第5回兵庫県がん化学療法チーム医療研修会」は10月22日を予定しており、テーマは「AYAがん患者の考え方」という仮のテーマである。各部会のセミナーだが、放射線セミナーが10月12 日、テーマは「食道がん」。研修・教育部会セミナーは10月26日に「がんゲノム医療の実際」で予定している。検査セミナーは12月21日、薬剤師セミナーは1月18日と日程は決まっているが、テーマは未定である。第9回ひょうご県民がんフォーラムは11月16日に「がんゲノム医療」で予定をしている。

③「情報・連携」部会関連
 情報・連携部会の大きなコンセプトとして相談支援センターの運営があるので、住民がどこの病院に行っても同じサービスを提供できるということが最大の目標になる。そういう観点で何をしたかというと、国立がん研究センターのがん情報センターが、各相談支援センターの機能のガイドラインを示しており、チェックリストが配られている。部会では、そのチェックリストを用いて、各病院を真摯に評価し、それをもとに各病院で目標管理シートを作って頂き、ある一定の基準を満たすように努力することを最大の目標にしている。そのため「がん相談支援の質の向上、活用の促進に努める」ということに特に力を入れてこの2年間ほどやっている。毎年各病院にチェックリストを配ってチェックして頂き、目標を立て、それに1 年間努力し、3か月おきにその進捗を評価するという形で相談支援の質の評価を続けているということが、一番主な仕事の状況である。細かく分けると、就労支援、ピアサポーター、相談連携部会の組織強化、人材育成などの各ドメインに分かれている。それぞれ県全体として足りない部分を全体の病院の意見を集約して、リスト化し、それを一つずつ潰していくというやり方で、この数年間やっている。その活動をまとめたものを資料に載せているが、実務者ミーティングを年に4 回やっており、その準備のための事務局ミーティング、また、就労支援のため、各関連部署とのミーティング、そして、相談員の質の向上のための認定単位研修、患者会との交流会等々、そのような内容を着々と実行してきた。その結果、目標管理シートのほとんどが達成できているが、唯一、就労支援が「概ね達成」という評価になっており、今年また新たに目標を立てるという状況になっている。昨年度の反省をもとに作った今年度の目標管理シートは、以上のような目標を達成するための活動計画を昨年度とほぼ同様に実行しようと思っている。
 新たな点は、今年度6月1日と2日に県に音頭をとって頂き、ピアサポーターの養成研修を既に終了している。兵庫医科大学病院には大変なご協力を頂き、会場も動かして頂き、実施させて頂いたことをご報告する。昨年は台風で中止になってしまい、今年度実施させて頂いた。もう一つ新たなものとして、「地域がん相談支援フォーラム」を今年開催する予定となっている。これは会場を神戸市立医療センタ ー中央市民病院に貸して頂き、10月6日に開催予定となっている。

④「がん登録」部会関連
 平成30年度は、がん登録の部会を6月19日に開催した。2016年度の時点で国指定の病院が14、県指定が9、準ずる病院が23、全てで46病院。それと粒子線医療センター、低侵襲医療センターを加えて、全ての登録情報を院内がん登録ということでやっている。また、実務者のスキルアップ等を考えたミーティング、研修等を年2 回開催した。ほとんどの院内がん登録に携わっている実務者は、全国がん登録の実務者でもあるので、8月に神戸大学のシスメックスホールにおいて、国立がん研究センターの柴田先生に、全国がん登録の説明をして頂いた。また、部会の活動として、都道府県のがん診療連携拠点病院連絡協議会に参加し、最新の情報の収集をして皆様にその情報を還元させて頂いている。
 31年度は、がん診療登録部会を6月28日に行う予定。実務者のミーティングも年2回予定しており、全国がん登録の担当者が疑問に思っているところを、講師を招いて説明したい。がん登録を行って、情報交換していることは、病院の特徴などを見ていただくためにやっている。平成28年度(2016年度)の時点で、46病院の登録公表を予定していたが、2 病院ができていない。1つは準ずる病院になってまだ浅いので、16年のデータがない病院である。もう1つは、ずっと登録されていなかった病院である。部会の活動であり、県をあげて情報公開に努力しているので、登録されてない施設は残り1か所なのでお願いしたい。
 30年度のPDCAサイクルは、この情報を収集して分析する体制、それから各実務者のスキルアップは、ほぼ達成できているので、今年度も引き続き、情報の収集分析をする体制と、情報公開に努めること、がん登録の実務者の精度管理に努めていくという目標を立てて実行したい。

⑤「緩和ケア」部会関連
 昨年度は、12月に「都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会」に参加した。緩和ケア部会はコアメンバー7名で、緩和ケア研修会に関することは、「緩和ケア研修会指導者の会」を開催して検討した。また、緩和ケアチーム研修会は「地域をサポートする緩和ケアチーム」をテーマで開催し、同日に各チーム間のPDCAについてのピアレビューも行った。緩和ケアフォローアップ研修会は、緩和ケア研修会を修了した人が参加する研修会で、「せん妄」をテーマで開催した。
 今年度は、都道府県がん診療拠点病院連絡協議会の部会に参加を予定している。そして、緩和ケア部会のコアメンバーは、神戸中央市民病院の西本先生、関西労災病院の堀先生に参加して頂いている。
 緩和ケア研修会は、平成31年3月28日付け厚労省通知に、開催に関して詳しく注意事項がある。一つ目は、がん診療に携わる医師か詳しく定義されているが、整形外科、リハビリテーション科などで受けられていない医師が見受けられる。二つ目に、緩和ケア研修会について、十分ニーズが満たされているか都道府県と協議のうえ開催することとあるが、逆に満たされていれば開催しなくてよいと解釈できるので、がんセンターは本年度開催しない予定である。そして、すべての臨床研修医において、緩和ケア研修会を受講する体制が整備されて、次の要件を満たす場合には、共同開催ができるとある。それは受講率85%以上であること。同一県内であること。国指定拠点病院同士だけではなく、準拠点であっても構わないということである。
 緩和ケアチーム研修会については、今年度は姫路医療センター主催で1月25日に開催を予定している。緩和ケアフォローアップ研修会は、「コミュニケーション」をテーマに定員100名を予定している。緩和ケア部会の検討課題(ピアレビュー)は、緩和ケアチーム研修会での相互評価を充実させることを考えている。緩和ケア病棟との連携等についても検討中である。

⑥「地域連携」部会関連
 昨年度は、がんパスの使用状況について検討した。一昨年に、地域連携パスの改定後少し更新を行っている。大腸癌のESDパスも一昨年作成、昨年運用してご意見を頂くということだった。がん地域連携に関する問題点としては、昨年度に地域連携パス5年終了時の対応についてアンケートをお願いした。今年度は、引き続きパスの使用状況を検討してゆく。また、大腸癌のESDパスも使っていただいて、意見をいただいて問題点の抽出も行って西崎先生にまとめて頂く。
 がんの地域連携パスの運用状況は、昨年のアンケートのデータだが、国指定14病院で、5大がん全てのパスが稼働しているのは5病院。8病院は少なくとも1つ以上稼働している。1 病院は未回答である。県指定の9病院のうち、1病院が5大がん全て稼働中。7病院は1つ以上のパスが稼働しており、1病院が未回答。準ずる病院23は、5大がん全てのパスが稼働中の病院はない。9病院では少なくとも1種類以上のパスが稼働している。30年3月時点で、7422件のパスが運用されている。内訳は、乳がんが2,543件と一番多く、胃がん、大腸がん、肺がん、肝がんと続く。これ以外に、子宮体がん、前立腺がんのパスが稼働している。パスの進捗状況だが、脱落例は全体では7.3%。がんの再発、治療関係で31%。社会的要因が 35%、その他・不明が 34%。大体、3分の1ずつというデータが出ている。原則、地域連携パスは、治療後5年というのを一つの区切りとして作成した。終了時にかかりつけ医と紹介元でやり取りをしているかどうかということが議題にあがり、そのアンケートを取った。このアンケートを西崎先生に送り、コメントを頂くわけだが、ざっと見ると、乳がんは大体10年をフォローするという施設が多く、5年経った時点でかかりつけ医と対応を相談して決めていくというコメントもあった。肝臓がんは、再手術率が非常に高いので、5年以降も連携が必要であるということになっている。一番多かったのは、ケースバイケースであり、患者と相談しながら症例ごとにその後の対応を変えているという施設である。原則は5年で一区切りなので、一旦は、かかりつけ医と紹介元で確認の文書を交わし、その上で、継続するか終了するかを決めるのが良いかと考えている。また、一部の意見で、終了時の文書に決まったものがないので、フォーマットを一度作った方が良いのではないかという意見もあった。

以上の 2018 年度活動報告及び 2019 年度活動計画はすべて承認された。

(4)がん患者医科歯科連携協定について (資料4/PDF: 131KB

 歯科・口腔外科未設置病院への取り組みでは、当該病院の近隣郡市区歯科医師会を通じて、連携による患者のメリットなどを説明し、医科歯科連携が推進するよう協議を行っている。全国共通がん医科歯科連携DVD講習会は、毎年1、2回行っている。今年も8月4日に兵庫県歯科医師会館で予定している。がん患者医科歯科連携への協力歯科医療機関情報の整備は、毎年更新をしてHP にアップしている。

(5)小児がんの進捗状況について (資料5/PDF: 2.6MB

 昨年度の活動報告は、前回2月の幹事会で概ね説明したので割愛する。今年度の活動計画及び検討課題を中心に説明する。まず、教育研修は、小児がん看護研修会を7月6日皮切りに11月2日を最後に、合計4回。全部受講すると小児がんの大体のところはカバーできる。これは好評であり、関東や九州などからの参加があった。職種も看護研修とはなっているが、医師などの参加もあった。次に、神戸大学の南教授、医師会の尽力により、日本プライマリ・ケア連合学会の近畿地方会を12月1日、姫路で行う。その教育講演で、私(小阪先生)と、大阪母子医療センターの血液腫瘍科の主任部長の井上雅美先生と2人で講演させて頂く。がん相談支援室の活動については、2か月に1回、「Nana 相談室」というビラを発行している。今は若干の部数を病院内に置いているが、積極的には配っていない。卵巣保存例が今年度 2 例増え、合計8例卵巣保存をした。小児がんの場合、特にAYA世代の妊孕性という問題があるので、積極的に兵庫医大にお願いし卵巣保存を行っている。小児領域も、緩和ケアが大事になってきているため、年2回ほど緩和ケアの講演会を行っている。今年は、5月10日に神奈川県立こども医療センターの堀木先生に講演頂いた。
 また、小児がん拠点病院が、今年10月31日を期限に連携する小児がん連携病院を指定するよう通知があった。近畿ブロックは10月5日に決定することになっているが、拠点病院が指定することになったので、兵庫県は当院で小児がんの診療実態のある6施設に声掛けし、小児がん連携病院になっていただこうと考えている。今は小児がん連携病院になれば、どんなルーティンが必要で、どんなメリットがあるか、まだ見えてきていない。もう少し情報を集め、できれば小児がん版の協議会を作り、こども病院が主導し、7病院で1年に1、2回くらいは集まって会議をしたい。これについては疾病対策課から行政として協力いただけると伺っている。資料6は、神戸陽子線センターで、小児がんで陽子線治療を受けた例数を示している。昨年度は47例の治療することができた。これまでは小児は、全国でほとんど筑波が一手に引き受けていた。昨年度、筑波大学は44例であったので、当院が日本で一番たくさん小児がんに陽子線をあてた施設ということになった。今後も、AYA世代も含んで、そのような症例があれば、お問合せいただきたい。

(6)がん教育について(資料6/PDF: 669KB

 平成30年3月に「兵庫県がん対策推進計画」が改定され、4月1日から施行の「がん対策推進条例」第23条においても、がんに関する教育の推進が求められている。教員への研修等がん教育を受けられる体制を整える必要がある。学校教育及び社会教育におけるがんの正しい知識の浸透が課題としてあり、教員等指導者のがん教育に関するスキルアップを図り、がん専門医、がん患者・経験者等の外部講師との連携体制を構築するため、体育保健課として指導者への研修会の実施、モデル校での実践を通じ、学校でのがん教育のあり方を検討してきた。
 がん対策基本法、第三期がん対策推進基本計画に「医師やがん患者・経験者等の外部講師を活用し、子どもに、がんの正しい知識やがん患者・経験者の声を伝えることが重要」とされているので、教育委員会及び衛生主管部局が連携して外部講師の活用体制を整備し、がん教育の充実に努めることが目標となっている。平成27年より文部科学省委託事業、がん教育総合支援事業を疾病対策課とも連携して、学校におけるがん教育のあり方について検討してきたが、外部講師の活用体制整備は、近隣の府県と比較して遅れをとっている。外部講師を招いたがん教育の進め方としては、「講師の専門性が十分に生かせるよう工夫する」「学校教育活動全体で、健康教育の一環として行う」「発達段階を踏まえた指導を行う」の3点がある。小学校では、がんを通じて健康と命の大切さを育むこと、中学校、高等学校では、科学的根拠に基づいた理解をすることを主なねらいとしている。
学校で教える内容は、学習指導要領に基づいている。授業におけるがんについては、体育保健で学ぶ。新学習指導要領は、小学校は令和2年、中学校は令和3年、高等学校は令和4年から年次進行で実施し、現在は移行期間となっている。小学校の保健領域では、6年生の「病気の予防」の喫煙、飲酒、薬物乱用と健康や地域の様々な保健活動の取組で、「がんについて触れる」、中学校と高校では、「がんについて取り扱う」という違いがある。中学校の保健分野では、「健康な生活と疾病の予防」を3年間かけて学ぶが、がんについては、「生活習慣病などの予防」と「喫煙、飲酒、薬物乱用と健康」を2年生で、「個人の健康を守る社会の取組」を3年生で学ぶ。現行学習指導要領では、がんは生活習慣病で学んでいたが、新学習指導要領では、2年生の生活習慣病などの予防の「など」にがんが含まれる。ここでは、生活習慣病の予防とがんの予防とに分けて学び、がんの予防として、詳しく記載されることになったことが、今回の改定の大きな目玉となっている。小学校でも、生活行動が主な要因となって起こる病気について学ぶが、がんについては触れない。がんの原因には、原因不明なものも多く含まれるため、がんの予防については、適切な生活習慣を身につけることが有効であることを理解するのは、発達段階上、中学校から学ぶこととなっている。高等学校の科目保健では、原則として、入学年次と次の年次の2か年に履修するが、がんについて取り扱うのは、「現代社会と健康」の、「生活習慣病などの予防と回復」と「喫煙、飲酒、薬物乱用と健康」でがん検診について、また、「健康を支える環境づくり」の「様々な保健活動や社会的対策」と「健康に関する環境づくりと社会参加」のところで、保健機関や医療機関、医療サービスなどについて学ぶことになる。具体的にどのように実施していくかというと、学校全体や学年単位、学級単位によって指導の内容や方法が変わってくる。がんに関する科学的根拠に基づいた理解をねらいとした場合は、がん専門医や学校医など医療従事者による指導が効果的とされて、健康や命の大切さをねらいとした場合は、がん患者やがん経験者による指導が効果的である。体育保健課では、モデル校での実践から、単に保健の授業の中で教えるだけでは、児童生徒に内容が伝わりにくく、がん専門医を招いて、学校全体や学年単位で講義頂くと、効果的であったとアンケート結果からも分かった。
 また、がん患者家族による体験談は非常に大きな影響を与えることが分かっており、講演会と授業の両方で効果的ながん教育の推進が行えると考えている。ただ、家族に経験者が居る場合に、強い印象を与える可能性があることに加えて、小児がんの当事者、小児がんにかかったことがある児童生徒が居る場合や、生活習慣が主な原因とならないがんもあり、特にこれらのがん患者が身近に居る場合、がんに限らず、重病、難病等にかかったことのある児童生徒が家族に該当患者が居たり、家族を亡くしたりした児童生徒が居る場合にも配慮が必要となってくる。講演会を開催する場合は、学校が主体となって企画運営を行い、講師の先生に丸投げしないために教職員対象の研修会で説明していく。モデル校の実践では、県立淡路医療センターの松岡先生にお願いして小学生に講演して頂いたが、がん教育を通じて児童生徒だけでなく、教職員の意識の変容もあり、がんについて深く学べる良い機会だったと感じている。資料に今後の検討課題を載せているが、一つは、体育保健課で今年度、協議会の中で授業や外部講師の講演の際に参考となる教材や指導参考資料を作成していく。これらの資料に加えて、先生方の映像資料等加えて頂ければ、より良い内容になると考えている。二つ目は、外部講師の確保について、講師の先生に丸投げしないように活用マニュアルは体育保健課で作成予定である。これまでは研修会は教職員と外部講師対象の研修会を同じ内容で実施していたが、今年度は教職員対象の研修とは別に外部講師用の研修会を予定している。研修会の日程が決まり次第、昨年同様に疾病対策課を通じて案内するので、多くの方に出席をお願いしたい。

(7)在宅医療について(資料7/PDF: 258KB

 在宅医療推進協議会のメンバーにがん診療連携協議会も昨年度からメンバーに加わっており、在宅医療充実に向けた取り組みに参加することになった。取組の中でアンケートと医療体制は協議会というより地域ごと、郡市区レベルで調査が行われるので周知願いたい。
 また、少し関連するものがアドバンス・ケア・プランニングに関することで、がん診療連携拠点病院においても、ACP 対策ということが明記されている。地域の先生方には、病院での意思決定の時にどのような話し合いをしたかを伝えてほしいという意見をよく聞くので、協議会として、ひな形作りができると思っている。これをどのように作るか計画立てをこの推進協議会に提出する。7 月上旬になる予定だが、手続きとしては緩和ケア部会で検討させて頂き、協議会の幹事長、議長の承認を得て、この推進協議会、福祉部健康部に提出しようと思っているので、ご了承願いたい。

<質疑応答>
質問:緩和ケア研修について、これを医学生のうちにしてしまうという考え方はないのか。初期研修が多く、 救急などもやっているので、なかなか時間が取れず、可能であれば大学教育でやって頂ければ助かる。
回答:文科省でそれは定められていない。医学部教育の中では定められていないのでなんとも言えない。ただ緩和ケア研修の内容は、私たち医師にとっても応用問題で、初期研修医1年目2年目の医師が受けてもかなり難しい内容なので、現実には今の内容であれば難しい。
補足:これは県から提案して頂くというようなことはできないか。
回答:なかなか難しい。確かに効率を追求するのであれば、学部の授業のカリキュラムに含めればいいのだろうが、今後の課題にさせて頂きたい。
協議会よりお願い:
・全ての事務連絡はメールで行う。
・メール連絡への返信は、着信確認を含めて必ず行う。
・連絡事項の院内への周知も迅速確実に行う。

以上

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