兵庫県がん診療連携協議会
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第2回幹事会 議事録  平成31年2月21日(木)開催

 第2回幹事会(以下、幹事会)が2019年2月21日に兵庫県学校厚生会館で開催された。兵庫県内のがん診療連携拠点病院46病院の代表者と関係5団体の代表者が参加した。協議会の吉村議長、兵庫県医師会常任理事の橋本先生からの挨拶があった。

(1)2018年第1回幹事会ならびに、 2018年度第13回協議会議事録の確認

(2)兵庫県のがん対策について (資料2/PDF: 913KB

①兵庫県内のがん診療連携拠点病院等の指定状況
 現在の指定状況では、国指定(14)・県指定(9)・準じる病院(23)合計46病院と、小児がん拠点病院として県立こども病院が国指定を受けている。兵庫県保健医療計画の2次医療圏域は、8圏域に集約されたが、がんの医療圏域は阪神圏域内の阪神南と阪神北と、播磨姫路圏域内の中播磨と西播磨とで10圏域で医療体制を整備している。また現在、平成31年4月から新しい指針に基づく地域がん診療連携拠点病院等の推薦を、厚生労働省に提出している。

②兵庫県がん対策推進計画の改定の概要
 2018年4月から始まる6年計画となる。新しい計画の中で新たに、がん患者を支える社会の構築を柱としたが、2016年改正がん対策基本法においても、就労支援の構築とがん教育の推進が新たに重点科目として注目された。

③がん対策推進条例(案)の概要
 現在、兵庫県の定例議会にて上程している。兵庫県では独自の健康づくり推進条例と、国のがん対策推進基本計画に基づいた都道府県計画である、兵庫県がん対策推進計画によってがん対策を推進してきた。がんが慢性疾患となった中、色々ながんをとりまく環境が変わってきた。兵庫県の特徴では、がんの特性に配慮したがん対策の推進、具体的には、小児・高齢・女性・肝がん・アスベストに関しては、特別な配慮等が必要なので文言だけではなく、別に条建てする。また、がん登録等の推進、先端医療に係る研究の推進は、新しく法律が整備されたことにもあり記載している。また、がんに罹患しても安心して暮らせる環境の整備では、緩和ケアという文言を最初に入れ、診断された時からケアが始まるという意味でこの条文を策定した。

④2019年度がん対策予算(案)の概要
 2019年度は、「がんとの共生」に昨年と比べると6億位予算を付け、がん患者等の相談事業の推進 や緩和ケアの推進等に重みをつけている。事業では、両立支援コーディネーターの研修、これは労働局が中心となりコメディカルの方々を対象に研修が始まっている。就労支援では、ハローワークとの協働での就職支援ナビゲーターによる就職支援や、産業保健総合医療センターの協力のもとで、両立支援促進員である社会保険労務士による離職防止等をしてきたが、個別の離職防止は大変ハードルが高く、労働者と雇用者の相互の同意と希望がない限り介入が出来ない分野であり、今後の課題である。

(3)協議会・幹事会並びに各部会の2018年度活動報告及び2019年度活動計画について
 (資料3/PDF: 3,025KB

①「協議会・幹事会」関連
 2018年度は、4月に協議会(第13回)を、6月と2019年2月に幹事会を、11月には兵庫県がん診療連携協議会主催の第8回兵庫県がんフォーラムを開催した。テーマは「がんと共に生きる」(姫路赤十字病院、姫路医療センター、赤穂市民病院、公立豊岡病院が担当)
 2019年度は、4月11日協議会(第14回)を開催し、幹事会は6月6日と2020年2月20日に予定。11月16日に第9回ひょうご県民がんフォーラム開催予定。テーマは「未定」(県立がんセンター、市立西脇病院、県立淡路医療センターが担当)

②「研修・教育」部会関連
 2018年度のがん看護実務研修は、県立がんセンターにて開催。10月には、第4回兵庫県がん化学療法チーム医療研修会、11月には第8回兵庫県民がんフォーラムを開催した。各種セミナーの開催では、研修・教育部会セミナー、放射線セミナー、検査セミナー、薬剤師セミナーを行った。2019年度も、がん看護実務研修予定。各種セミナーの開催、第9回兵庫県がんフォーラムを行う予定。なお、来年度からは、関西労災病院の村田 幸平先生が部会長となる。

③「情報・連携」部会関連
 018年度は、がん相談実務者ミーティングと並行して情報連携部会を年4回開催し、がん相談実務者ミーティング事務局会議を年3回行い、地域相談支援フォーラムin 近畿を行う準備を他県と共に進めている。2019年度は、がん相談実務者ミーティングと並行して情報連部会を年4回行う予定、がん相談実務者ミーティング事務局会議を年3回行う予定。また、10月6日に神戸市立医療センター中央市民病院講堂にて、地域相談支援フォーラムin 近畿を開催予定 テーマ:「高齢がん患者の支援を考える」(仮)

④「がん登録」部会関連
 2018年度は、6月にがん診療連携協議会がん登録部会を開催した。院内がん登録実務者ミーティングを年2回開催した。また、5月に東京で開催された都道府県がん診療連携協議会のがん登録部会へ参加し、最新の情報を皆様に還元している。8月には、法に基づく全国がん登録実務者研修会を開催した。2019年度では、6月にがん診療連携協議会がん登録部会を予定。院内がん登録実務者ミーティングを年2回予定、4月に都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会 がん登録部会参加予定。本年度も全国がん登録に関する研修会を予定している。また、がん診療連携協議会のホームページ内に、施設別に院内がん登録の部位別登録数と割合ならびに、3大がん(大腸、肺、胃)の施設別治療法のがん登録件数と割合を公表しており、今年度も、2015年と同様、2016年診断症例に関しても公表を行う予定。

⑤「緩和ケア」部会関連
 2018年度は、第6回都道府県がん診療連携連絡協議会の緩和ケア部会に参加、緩和ケア研修会の開催を計27回開催した。また緩和ケアチームの質を高めるため、緩和ケア研修会指導者の会と患者会の合同検討会、緩和ケアチーム研修会、緩和ケアフォローアップ研修会の開催をした。緩和ケア研修会の修了者は確実に増えている。2019年度は、都道府県がん診療連携連絡協議会の緩和ケア部会に参加予定、緩和ケア研修会、緩和ケア研修会指導者の会と患者会の合同検討会、緩和ケアチーム研修会、緩和ケアフォローアップ研修会の開催予定。また、検討課題1として、専門緩和ケアの質を十分に担保していけるよう、新たな取り組みとして相互訪問による、ピアレビューをすることを加え、さらに質を高めることを考えている。

⑥「地域連携」部会関連
 2018年度は、がんパスの使用状況については施設により使用状況が違っている。改善に向けて継続的に検討する。大腸癌ESDパスは、連携ノートを作り各委員に検討いただいた。2019年度頃よりスタートする予定。がん地域連携に関する問題点では、乳がんWGの連携ノートの内容について議論があり、引き続き各WGで2019年度も検討していく。また、がんパスは5年パスとして運用しており、5年が終了した時点での開業医の先生との情報共有が、口頭か又は手紙を書くなど様々で、最後の段階でどのようにするか、アンケートを取り今後の課題として検討する。

以上の2018年度活動報告及び2019度活動計画は、すべて幹事会で承認された。

(4)がん生殖医療について (資料4/PDF: 499KB

 兵庫県では、2016年から兵庫医大・英ウイメンズクリニック・徐レディースクリニックで妊孕性温存を行う。2018年の統計では、卵子凍結は19名、胚凍結12名、卵巣凍結が4名 計35名であった。患者背景として、乳がん21名、白血病6名、その他が8名の内訳となる。今後の課題として地域性とあり、県中北部、淡路島等の方には不便である、助成事業の整備が必要である、またネットワークの対象に男性がん患者を含める事が上げられた。

(5)がん患者医科歯科連携協定について (資料5/PDF: 212KB

 歯科口腔外科未設置病院への取り組みを、医科歯科連携により推進できるよう協議を重ねている。 また、2018年4月に診療報酬改定で気管挿管時の歯の保護を目的とした口腔内装置の制作が対応出来、周術期等口腔機能管理が取り組みやすくなることで一層の緊密に連携を進めた。また、口腔がん 羅患した患者等の対応を含む、在宅医療の後方支援に関するアンケートを、2017年に実施し、その 集計結果を会員に周知して各地域での連携の強化に努めている。

(6)小児がんの進捗状況について (資料6/PDF: 2,395KB

 2018年度では、生殖ネットワークとの連携によりAYA世代の妊孕性温存処置の拡大・促進に努める。3月に兵庫県立陽子線センターと連携し、5月より小児を開始する。また、2019年1月より晩期合併症が少ない全脳全脊髄照射(CSI)を開始する。現在、兵庫県立こども病院では、14%以上がAYA世代となるが、院内学級は小・中学校までの対応である。高校生では、学校教育を希望される方は、通信制の学校に転校することにより、留年せず単位がとれ、入院が終わり学力も伴えば、現籍校に戻れるようなルールがようやく出来つつある。2019年度も小児がん拠点病院の再指定を受け、指定要件の中に小児及びAYAがんが対象に入り、長期生存者のフォローアップ、相談支援センターの充実、拠点病院中心となる小児がん連携病院の指定が役割とされている。

(7)第1回リムパーザ(薬品名)のコンパニオン診断(BRCA1/2遺伝子検査)に関する会議報告 (資料7/PDF: 372KB

 リムパーザ(オラパリブ)を使用に関して連携体制を築くための第1回会議を開催した。BRCA1/2遺伝子検査で、遺伝子に変異がある方が対象となり、がんで変異した遺伝子の診断ではなく、親から受け継いだ胚細胞の遺伝子診断をする。これは、患者本人だけではなく、血縁者のがん発生リスクも診断することになり、非常に大きな問題である。当然、陽性の場合はカウンセリングを受ける対応が必要となるが、現在オラパリブは、卵巣がんで遺伝子検査をせずに使用され、カウンセリング体制が整う前に承認と同時に使用できる状態にあった。そこで、兵庫県では乳がんを中心に診ていた病院 (兵庫県立がんセンター、兵庫医科大学、神戸大学病院) で話し合い、兵庫県で共通の連携についての(覚書)、説明書、同意書を作成し会議にて報告した。今後がん診療連携協議会HPにて掲載予定。

<質疑応答>
質問1:がん対策推進計画の条約にも学校の教育とあるが、教育委員のがん教育に関する研修会では、モデルケースの現場はとても困っていると報告があった。現在文科省で資料を作りネットで上げているが、協力体制について部会でどうされていくのか。
回答1:がん関係での教育は大きく分けて2つあり、一般県民向けと学校でのがん教育、もう一つは、がん治療中のこども達の教育の継続をどうしていくのか。学校でのがん教育は教育委員会が2013年から小中高と一校ずつモデルケースとし、モデル事業で解ってきた問題やノウハウを抽出しまとめ、今度は標準化するために啓発資材やマニュアルなどを作成する予定である。これまでの健康教育のように予防と早期受診だけではなく、病気になった時に正しい行動を取ることができるような、がん教育を考えている。がん拠点病院中心とし、医師会の先生方にも学校医として協力していただけるようお願いしている。
質問2:がん教育について、教育委員会より現場の先生が困っていると聞き講義に行ったのですが、学校の先生への教育が必要になるのではないかと思いますがいかがですか。
回答2:現在、教育委員会では外部講師に対する授業の進め方の研修に加え、学校の教職員への研修等を進めているところですので、引き続きご支援をお願いします。
質問3:リムパーザのコンパニオン診断では、兵庫県外の病院に患者を紹介する事が多く、その場合連携体制は整えなくてもいいのか。兵庫県の病院としては、契約をしなくてはいけないのか。
回答3:兵庫県内で患者さんが困らないようするための連携なので、法的には全く問題ないので患者さんが困らなければ大丈夫です。
質問4:大腸がんのMSI-Hがコンパニオンと同じように出てきているのですが、それに対してはなにかお考えでしょうか。
回答4:次は、大腸がんMSI-Hを念頭に置いております。BRCA遺伝子診断が軌道に乗れば、同じような枠組みを作っていきたいと考えている。
質問5:妊孕性の問題で経費の補助に関して、現在兵庫県ではどうなっていくのでしょうか。
回答5:兵庫県では、厳しい財源の元、現時点では、費用助成は行っておりません。まだ新しい技術であり、今後の成績も踏まえて今後の課題と考えます。いかに限られた財源で、最大限の効果を発揮できるかを考えると、いわば成果主義的発想ですが、妊孕性温存手術や卵子・卵巣等の保存に費用助成する代わりに、温存された卵巣・卵子を使用して妊娠されることに助成するなど様々な考え方もありますが、今後のAYA世代のがん対策として考えて行きたいと思います。
意見:就労支援に関して、仕事を辞める必要がないことの現場での教示や、がん診療連携協議会では社会保険労務士やハローワークと協議していく、場合によっては、相談支援センターを活用する。また、地域のがん拠点病院の指針の中に、地域の医療機関や在宅診療所等や介護従事者・がんの医療を提供する病院が緊密に連携をとることや、最低1年に一度は議論する場を設けるという文言がある。がんセンターでは、1月に多職種連携学習会おこなったが、今後拠点病院はこういう会を指針に従い定期的に行う必要がある。
協議会よりお願い:
・すべての事務連絡はメールで行うこととしている。
・メール連絡への返信は着信確認を含めて必ず行うようにお願いしたい。
・連絡事項の内容は院内周知し情報の共有を行っていただきたい。

以上

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